「ティッシュをトイレに流しても大丈夫?」
見た目は似ていても、トイレットペーパーとティッシュペーパーはまったく別物。
うっかり流したことで詰まりを引き起こし、トイレが使えなくなるトラブルに発展するケースも少なくありません。
この記事では、
- 素材別に見る「詰まりやすい紙・詰まりにくい紙」
- 実際にティッシュを流してしまったときの対処法
- 日頃からできるトイレ詰まりの予防策
- 「流せるティッシュ」や公衆トイレでの注意点
といった内容をわかりやすく解説。
「ティッシュくらい大丈夫」と思っていた方も、今後のトイレトラブルを防ぐための正しい知識がきっと身につきます。
ティッシュをトイレに流すと詰まるって本当?
「うっかりティッシュをトイレに流してしまったけど、大丈夫?」という経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
結論から言うと、ティッシュをトイレに流すのは詰まりの原因になるためNGです。特に少量なら大丈夫と油断しがちですが、積み重なると大きなトラブルに発展します。
この章では、なぜティッシュが詰まりやすいのか、そしてトイレットペーパーとの違いを詳しく解説していきます。
トイレットペーパーとティッシュの違いとは?
見た目はよく似ているトイレットペーパーとティッシュペーパー。
しかし、この2つは製造目的も素材構造も大きく異なります。
| 比較項目 | トイレットペーパー | ティッシュペーパー |
|---|---|---|
| 主な用途 | トイレ使用 | 鼻をかむ・顔や手をふく |
| 水への溶けやすさ | ◎ 水にすぐ溶ける | × 水に溶けにくい |
| 紙の繊維の構造 | もろく崩れやすい | 密で丈夫な構造 |
| トイレに流してよいか | ◯ 安全に流せる | ✕ 詰まりの原因になる |
ティッシュペーパーは、水に濡れてもある程度形を保つように設計されており、溶けにくく排水管の中で残りやすいという特性があります。一方、トイレットペーパーは便器の中で素早く分解されるため、安心して流せるのです。
なぜティッシュは水に溶けにくいのか
ティッシュペーパーが水に溶けにくい理由は、繊維の構造と製造方法にあります。
- 繊維が長く絡み合っているため、水に入れてもすぐには分解しない
- 強度を高めるために**化学薬品(湿強剤)**が使われていることが多い
- 保湿成分などが加えられている製品もあり、分解されにくい
これにより、ティッシュは水の中でも形を保ち、排水管の途中で滞留・蓄積して詰まりやすくなるのです。
また、最近では「しっとりタイプ」や「強度重視」の高級ティッシュも増えており、これらはさらに水に溶けにくい傾向があります。
一度流しても詰まらない場合もあるが油断は禁物
「前に1〜2枚流したけど大丈夫だった」という声もあります。確かに、少量なら一度で詰まる可能性は低いかもしれません。
しかし、それが何度も繰り返されると、管の中で紙が堆積し、やがて完全に詰まることになります。特に以下のような条件が重なるとリスクは高まります。
- 築年数が古く、排水管の内部が細くなっている住宅
- 配管に異物がすでに引っかかっている場合
- ティッシュと一緒に流した水の量が少なかったとき
そのため、「今回は大丈夫だった」では済まされないのがトイレ詰まりの怖さです。
ティッシュは基本的に流さず、ゴミ箱へ捨てることが鉄則といえるでしょう。
素材別|流すと詰まりやすい紙・詰まりにくい紙の特徴

「これも紙だからトイレに流していいはず…」そう思って流したものが、実はトイレ詰まりの原因になっているかもしれません。
紙といってもその性質や水への溶けやすさはさまざま。ここでは、家庭でよく使う紙類を素材別に分けて、トイレに流すリスクを解説します。
トイレットペーパー|水に溶けやすく安全
トイレに流して良い唯一の紙が、このトイレットペーパーです。
- 水に触れるとすぐに繊維がほぐれ、自然に分解される
- 排水管や下水処理施設でも詰まりにくい
- 日本製の多くは水溶性を重視して設計されている
👉 安心して流せる唯一の紙。ただし、一度に大量に流すと詰まりやすくなるため複数回に分けて流すのがポイントです。
ティッシュペーパー(箱ティッシュ)|溶けにくく危険
見た目は似ていますが、ティッシュペーパー(箱ティッシュ)は水に溶けにくく、詰まりのリスクが高い紙です。
- 強度を保つために水に濡れても形が崩れにくい
- トイレットペーパーのようには分解されない
- 保湿成分や柔軟剤が含まれている製品もあり、さらに溶けにくい
👉 「少量だから大丈夫」と思って流すのは危険。ゴミ箱に捨てるのが正解です。
キッチンペーパー|繊維が強く絶対NG
キッチンペーパーは水や油を吸収しても破れにくいように設計されており、トイレに流すのは絶対NGです。
- 厚手かつ繊維の密度が高く、水に溶けない
- 排水管内に引っかかりやすく、詰まりの原因に直結
- 特に油分と合わさると、固まって排水管をふさぐリスクも
👉 万が一流してしまうと、ラバーカップや薬剤でも対処できないケースが多いため要注意。
ウェットティッシュ・おしりふき|水に溶けないため高リスク
「流せるタイプ」と記載された商品もありますが、基本的にウェットティッシュやおしりふきは水に溶けない紙です。
- 水分を含んでいても破れにくく、繊維が強い
- 詰まりだけでなく、下水処理施設のフィルターを傷めることも
- 「流せる」と書いてある製品でも、実際はゆっくりしか分解されない
👉 流せると書かれていても、何枚も一度に流すのは絶対NG。できる限りゴミとして処分しましょう。
再生紙・リサイクル紙|製品によっては注意が必要
環境に配慮した再生紙ですが、商品によって水への溶けやすさが大きく異なります。
- トイレットペーパーに使われている再生紙は問題なし
- ただし、コピー用紙や新聞紙などの再生紙は水に溶けない
- インクやコーティング剤を含むタイプもあり、分解されずに詰まりやすい
👉 「再生紙だから安全」と思い込まず、用途や製品表示を確認することが大切です。
✍️ ワンポイントまとめ
| 紙の種類 | トイレに流せる? | 詰まりやすさ |
|---|---|---|
| トイレットペーパー | ◎ 安全 | 低 |
| ティッシュペーパー | × NG | 高 |
| キッチンペーパー | × 絶対NG | 非常に高い |
| ウェットティッシュ等 | △ 商品次第(基本NG) | 高 |
| 再生紙(コピー用紙など) | × 用途次第 | 高 |
うっかりティッシュを流した!詰まったときの対処法

ティッシュをトイレに流してしまい、流れが悪くなったり、水が逆流したりすると焦ってしまいますよね。
しかし、詰まりの程度によっては自力で解消できるケースも少なくありません。
ここでは、軽度な詰まりから重度のトラブルまで、段階ごとの対処法を紹介します。
軽度な詰まりなら「お湯+放置」で解決することも
ティッシュが少量で、まだ水がゆっくり流れる程度の軽い詰まりであれば、「お湯+時間」の力で自然に解消される可能性があります。
✅ 方法
- 約50℃程度のぬるめのお湯(熱湯はNG)をバケツなどで便器に注ぐ
- そのまま30分〜1時間ほど放置する
- 1時間後、再び水を流してみる
※熱湯は便器を破損させる恐れがあるため使用しないでください。
✅ なぜ効くの?
ティッシュは冷たい水ではほとんど溶けませんが、ぬるま湯に長時間浸すことで繊維が柔らかくなり、自然に流れやすくなります。
👉 この方法は、ティッシュが詰まりの原因と明確に分かっていて、水が完全には流れなくなっていない場合に有効です。
ラバーカップ(スッポン)での解消法
水の流れがかなり悪くなってきた場合は、**ラバーカップ(通称スッポン)**の出番です。
これは詰まりを物理的に引き抜く基本的な道具で、家庭に1つあると安心です。
✅ 正しい使い方
- ラバーカップのゴム部分が便器の排水口をしっかり覆うようにセット
- 水を足して、ゴム全体が水中に沈む状態にする(空気が入ると効果が落ちる)
- ゆっくり押し込み、勢いよく引く動作を数回繰り返す
- 詰まりが取れたと感じたら、水を流して確認
✅ ポイント
- ゴムが密着していないと圧力が伝わらない
- 押すよりも「引く力」が大切
👉 数回試して改善がない場合は、無理に繰り返すと逆効果。次のステップへ進みましょう。
それでもダメなら専門業者へ相談を
「お湯でもダメ」「ラバーカップでも解消できない」「逆流してくる」——そんなときは、自力での解決が難しい状態です。無理をすると、水漏れや配管破損などの二次被害につながる危険性もあります。
✅ 専門業者に依頼すべきサイン
- トイレの水位が常に高い・下がらない
- ラバーカップでもまったく改善しない
- 異音や異臭がする
- 家中の水回りで流れが悪くなっている(配管全体の問題)
✅ 業者依頼のポイント
- 地元の「水道トラブル対応業者」や「水道局指定工事店」に依頼
- 夜間・休日は割増料金に注意
- 見積もり無料か、出張費の有無を事前に確認
👉 「詰まったときに無理せず業者へ」という判断は、時間とお金の無駄を減らす賢い選択です。
💡 緊急時の心得まとめ
| 状況 | 対応方法 |
|---|---|
| 少し水が流れる | お湯+放置で様子を見る |
| 流れが悪くなったがまだ水は引く | ラバーカップで対処 |
| 水が引かず逆流しそう | 業者に相談(早めに) |
トイレ詰まりを防ぐためにできる予防策

一度でもトイレが詰まると、その不便さとストレスは相当なもの。
そこで大切なのが「詰まりを未然に防ぐ習慣」です。
ちょっとした意識と工夫で、日常的なトイレトラブルのリスクを大幅に減らすことができます。
流してよいもの・ダメなものを家族で共有
まず基本中の基本ですが、「トイレに流していいものは限られている」というルールを、家族や同居人全員で認識しておくことが大切です。
✅ トイレに流してよいもの
- トイレットペーパー(適量のみ)
- 人体の排泄物
❌ 絶対に流してはいけないもの
- ティッシュペーパー・キッチンペーパー
- ウェットティッシュ・おしりふき
- 生理用品・おむつ・ペットシート
- 食べ残しや嘔吐物(詰まり・悪臭の原因)
とくに子どもや高齢の方がいる家庭では「紙=流せる」という誤解が起きやすいため、トイレに「流してOK・NG」のリストを貼っておくのも効果的です。
多量に紙を使うときは数回に分けて流す
トイレットペーパー自体は水に溶ける紙ですが、一度に大量に流すと詰まりの原因になります。
✅ よくある詰まりやすい状況
- トイレットペーパーを10枚以上重ねて流す
- 便と一緒にたくさんの紙を流す
- 水流が弱いトイレで一気に流す
こうしたケースでは、紙が溶ける前に配管にたまり、詰まりやすくなります。
👉 対策としては、「1回の使用量を意識し、必要に応じて2〜3回に分けて流す」こと。面倒に感じるかもしれませんが、詰まりの手間や費用を考えればはるかに軽い負担です。
トイレに「流せる」と書かれていても過信しない
最近は、「流せるおしりふき」「流せる掃除シート」「流せる猫砂」など、“流せる”と書かれた商品が増えています。
しかし、実際には…
- 水に触れてもすぐに分解されない
- 配管内で長時間残留し、他の汚れと絡まりやすい
- 水量の少ない節水型トイレでは流れきらないことも
というように、「流せる=溶ける」ではないのが実情です。
👉 「1枚だけなら」「商品に書いてあるから」と安易に流さず、本当に必要なときだけ流し、可能ならゴミとして処分するのがベストです。
📝 トイレ詰まり予防のチェックリスト
- ✅ 流していいもの・ダメなものを家族で共有できている
- ✅ 紙を多く使うときは数回に分けて流している
- ✅ 「流せる商品」でも過信せず、使用を最小限にしている
- ✅ トイレ内に注意書きやイラストなどで視覚的に啓発している
これらのポイントを守るだけで、トイレの詰まりリスクを大幅にカットできます。
よくある質問Q&A

トイレ詰まりに関する疑問は、人によってさまざまです。
ここでは、「これって大丈夫?」「意外と知らない…」というよくある質問をわかりやすく解説します。
Q:ティッシュ1〜2枚でも詰まるの?
A:可能性は低いですが、ゼロではありません。
ティッシュペーパー(箱ティッシュ)はトイレットペーパーと違い、水に溶けにくい性質を持っています。1〜2枚程度であれば、詰まりに直結することは稀ですが…
- 水流が弱いトイレ
- 他の汚物と一緒に流した場合
- 紙質が厚手・保湿加工ありのティッシュ
などの条件が重なると、排水管内で引っかかりやすくなり、徐々に詰まりの原因になることがあります。
👉 たとえ少量でも、「ティッシュ=流さない」が安心です。ゴミ箱に捨てましょう。
Q:「流せるティッシュ」は本当に流していい?
A:使用量・環境に注意すればOK。ただし過信は禁物です。
「流せるティッシュ」や「流せるおしりふき」は、トイレットペーパーよりもゆっくりと水に溶ける設計になっています。
- 少量なら基本的に問題なし
- 一度に何枚も流すと、溶けきらずに詰まるリスクあり
- 節水型や古いトイレでは流れにくくなることも
👉 製品ごとの特性や注意書きを確認し、「1回1枚程度」にとどめるのが無難です。“流せる”は万能ではないという認識を持ちましょう。
Q:旅行先や公衆トイレではどうすればいい?
A:そのトイレごとのルールに従うのが鉄則です。
公衆トイレや旅行先のトイレ(特に海外や山間部、簡易トイレ)は、配管や処理システムが自宅とは違う場合が多くあります。
- 日本の一部地域では、紙を流さずゴミ箱に捨てるルールも
- 海外では「紙を絶対に流さない」国もある(例:ギリシャ、タイなど)
- 公衆トイレでは「流せる紙かどうか」を明記していることが多い
👉 基本は**「掲示されている案内に従う」ことがマナー**。不明な場合は、ティッシュやウェットティッシュは持ち帰るのが安心です。
まとめ|ティッシュは「流せない」が基本。正しい知識でトイレを守ろう

トイレの詰まりトラブルは、ちょっとした油断や誤解からでも簡単に起きてしまうものです。
特に「ティッシュペーパー」はトイレットペーパーと見た目が似ているため、つい流してしまいがちですが、水には溶けず詰まりやすいという大きな違いがあります。
この記事で紹介したように、
- ティッシュやキッチンペーパー、ウェットティッシュは「流せない紙」
- トイレには「トイレットペーパーと排泄物以外は流さない」のが基本
- 万が一詰まってしまっても、段階的に正しく対処すれば慌てなくて済む
- 普段からの使い方・注意が詰まりの予防につながる
といったポイントを正しく理解して実践することが、トイレトラブルを未然に防ぐカギです。
✅ 最後にチェック!
- ティッシュは“たった1枚”でも原則流さない
- トイレットペーパーの使いすぎにも注意
- 「流せる製品」は過信せず、少量使用を心がける
- 不安なときは放置せず、早めの対処が大切
大切なトイレを長く快適に使うために、「何を流してよいか」を家族全員で共有し、正しい習慣を持つことが一番の対策です。
小さな意識で、大きなトラブルを防ぎましょう。

