夏といえばプール!
でも、あの独特な「プールの匂い」、一度嗅ぐと忘れられませんよね。多くの人が「これは塩素のにおいだ」と思い込んでいますが、実はその正体、塩素ではなかったのです。
この記事では、
- プールのにおいの正体は何か?
- 体に悪影響はないの?
- においを減らすためにできる対策とは?
…といった気になる疑問をわかりやすく解説!
匂いの原因を正しく知ることで、より快適で衛生的なプール環境を実現できます。特にお子さんのいるご家庭や学校関係者の方は必見です。
あの独特な「プールの匂い」って何?
小学生時代の記憶がよみがえるあの香り
夏になると誰もが一度は思い出す、小学校のプールの匂い。水しぶきの音、コンクリートの照り返し、そして鼻をくすぐるようなあの独特な香り。子どもながらに「これぞ夏!」と感じていた方も多いのではないでしょうか。
あの匂いは、プール特有の思い出と結びついているため、懐かしさを感じやすく、記憶に強く残りやすいのが特徴です。汗や日焼け止めの匂いも混ざっていたかもしれませんが、一番印象に残るのは、やはり“プールのあの匂い”です。
多くの人が「塩素の匂い」と思っているが…
「プールの匂い=塩素の匂い」と思い込んでいる人は多いでしょう。しかし、実はこれは“正確ではない”のです。
塩素は、水を消毒するために使用されており、水道水にも使われているほど身近なものですが、純粋な塩素そのものには強い匂いはありません。
つまり、あのツンとした鼻につくような匂いは、実は“塩素のせい”ではないのです。
では、あの匂いの正体は何なのか?それを探っていくと、意外な化学反応と人体由来の成分が関係していることが分かってきます。次の章では、その“正体”に迫ります。
プールの匂いの正体は“塩素”じゃない?

実は「塩素」そのものは無臭だった!
「プールといえば塩素の匂い」と長年思い込んでいた人にとって、これは意外な事実かもしれませんが、実は塩素そのものには、ほとんど匂いがないとされています。
プールに使用される次亜塩素酸ナトリウム(水に溶けると次亜塩素酸として作用)も、適正な濃度で管理されていれば、強い刺激臭は感じないはずです。
では、私たちがあの「プール臭」として記憶しているツンとした匂いは、一体どこから来ているのでしょうか?
においの元は“ある化学反応”にあった
プールのあの独特なにおいの正体は、「塩素」と「人の体から出た成分」が反応してできる物質、**クロラミン(chloramines)**です。
クロラミンは、以下のような流れで発生します:
塩素(消毒剤) + 尿・汗・皮脂・皮膚の垢などの有機物
= クロラミン(不快なにおいの元)
とくに尿に含まれるアンモニアと塩素が反応すると、強い刺激臭を放つジクロラミンやトリクロラミンという物質が生成されます。これが、あの“鼻にツンとくる”独特なにおいの正体だったのです。
つまり、プールが臭う=汚れが多い証拠とも言えます。塩素の量が多いほど臭うのではなく、汚れと塩素が反応して生まれた副産物こそが、あのにおいの元だったというわけです。
原因は“クロラミン”という化合物だった!

クロラミンとは?塩素と汗・尿の反応でできる物質
私たちが「プールの匂い」と感じている主な原因物質は、クロラミン(chloramines)と呼ばれる化合物です。クロラミンは、消毒のために使用される塩素と、利用者の汗・尿・皮脂・皮膚の汚れなどに含まれるアンモニアや有機物が化学反応を起こすことで生成されます。
クロラミンにはいくつか種類があり、特に以下の3つが存在します:
- モノクロラミン
- ジクロラミン
- トリクロラミン
この中でも、トリクロラミンは特に刺激臭が強く、目や鼻への刺激を引き起こすことで知られています。プールサイドで「ツンとくる」「目がしみる」と感じた経験がある人は、このトリクロラミンの影響を受けていた可能性が高いのです。
においが強くなる原因は「汚れ」だった!?
多くの人は「塩素の量が多いから匂いが強い」と考えがちですが、実は匂いの強さ=汚れの多さを示すサインでもあります。
つまり、以下のような状況になるとクロラミンが発生しやすくなります:
- シャワーを浴びずにプールに入る人が多い
- 小さな子どもなどがプール内でおしっこをしてしまう
- 水の入れ替えや循環が不十分な場合
このような場合、プール水中の有機物(汗・尿・皮脂など)の濃度が高まり、塩素と反応することでクロラミンが大量に発生し、独特の強烈な匂いや刺激の原因となります。
言い換えれば、プールが臭い=しっかり洗ってから入っていない人が多い or 衛生管理が甘いということ。
プールの衛生環境は、施設側の管理だけでなく、利用者一人ひとりのマナーと協力によって大きく左右されるのです。
安全性は?健康への影響はあるの?

クロラミンは目や肌への刺激の原因にも
プールで遊んだあとに「目が赤くなった」「肌がかゆくなった」という経験をしたことがある人も多いでしょう。その原因のひとつが、塩素の副産物であるクロラミンです。
特にトリクロラミンは、目や鼻の粘膜、さらには呼吸器にも刺激を与えることがあり、以下のような影響が出る可能性があります:
- 目の充血・かゆみ
- 鼻のムズムズ感・くしゃみ
- 喉の違和感
- 肌荒れやかゆみ
- 長時間吸い込むことで呼吸器の不快感(屋内プールで多い)
また、子どもや肌の弱い人、アレルギー体質の人にとっては、これらの刺激がより強く出ることがあります。プールの匂いが強い場所ほど、クロラミンが多く発生している可能性が高いため、注意が必要です。
プールの管理方法によってリスクは変わる
クロラミンの発生を完全に防ぐことは難しいものの、プールの水質管理次第で、その量や影響を大きく減らすことは可能です。
主な管理ポイントは以下のとおりです:
- 塩素濃度の適正な管理:多すぎても少なすぎてもNG
- 水の循環・ろ過の強化:有機物を効率よく除去
- 利用者へのマナー啓発:事前のシャワー・トイレの使用など
- 換気の徹底(屋内プール):空気中のトリクロラミン濃度を下げる
つまり、プールの匂いが強い=衛生状態が悪い証拠とも言えます。匂いがきつく目にしみるようなプールは、水質管理が不十分である可能性があるため、特に小さな子どもが利用する場合は注意が必要です。
最近では、クロラミンの発生を抑える高性能ろ過システムや紫外線殺菌装置などを導入する施設も増えており、衛生面への配慮が進んでいます。
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プールのにおいを減らすにはどうすればいい?

事前のシャワーが最も効果的!
プールのにおいの元になるクロラミンは、人の体から出る汗・皮脂・尿などの成分と塩素が反応することで生まれるため、利用者の協力がにおい対策の鍵となります。
その中でも最も効果的なのが、プールに入る前のシャワーです。
シャワーであらかじめ体の汚れや汗、皮脂を洗い流すことで、プールに持ち込まれる有機物の量を大幅に減らすことができます。これにより、塩素との反応で発生するクロラミンの量も抑えられ、あのツンとした匂いの発生が軽減されます。
特に注意すべきポイントは以下のとおりです:
- 髪・体・顔をしっかり洗い流す(お湯だけでなく石けんも効果的)
- トイレを済ませてからプールに入る
- 子どもにはシャワーの大切さをわかりやすく伝える
利用者一人ひとりの小さな配慮が、快適なプール環境づくりに直結するのです。
水質管理の工夫でにおい対策も可能に
プールの衛生状態を保つには、利用者のマナーだけでなく、施設側の水質管理も非常に重要です。においを抑えるための具体的な管理ポイントは以下のとおりです:
- ろ過装置の定期点検・交換
汚れや有機物を効率的に取り除くために不可欠。 - 塩素濃度の適正管理
濃度が低すぎると消毒不足、高すぎるとトラブルの原因に。 - 水の定期的な入れ替え・循環
クロラミンなどの蓄積を防ぐには、常に水を新鮮に保つ必要があります。 - UV(紫外線)殺菌やオゾン処理の導入
これらの最新技術により、クロラミンの分解や除去が可能です。 - 屋内プールなら換気対策も重要
空気中に拡散したクロラミンを外に逃がす工夫が必要です。
においが強いプールほど、衛生環境が疑われます。定期的な点検と設備投資により、においの少ない、より安全なプール空間を実現できるのです。
まとめ|「プールの匂い」はみんなで減らせる!

においの正体を知ることで意識が変わる
「プールのにおい=塩素の匂い」と思い込んでいた人も多いかもしれませんが、実際は塩素と体から出る汚れが反応して生まれる“クロラミン”の匂いが正体です。
この事実を知るだけでも、私たちの意識は大きく変わります。
「匂いが強い=塩素が多い」ではなく、「匂いが強い=汚れている」という考え方に変わることで、プールの衛生管理や利用マナーの重要性に気づく人が増えるでしょう。
**“プールが臭うのは当たり前”ではなく、“臭わないのが理想”**という視点が、これからの常識になっていくべきです。
清潔に使えば快適なプール環境が実現できる
においの発生を抑えるには、施設側の水質管理と利用者の協力が両輪となって機能することが必要です。
- プールに入る前のシャワー習慣
- トイレの利用やマナー教育
- 定期的な水の入れ替えやろ過の強化
- 紫外線殺菌・換気など設備面の工夫
これらの取り組みがきちんと行われていれば、あの不快なにおいはぐっと軽減され、目や肌への刺激も少なくなります。
子どもたちが安心して泳げる環境をつくるためにも、大人が正しい知識を持ち、みんなで「きれいに使う」意識を持つことが大切です。
プールのにおいは、ちょっとした工夫と意識で減らせます。
「におわないプール」は、より快適で安全な“夏の思い出の場”になるのです。
よくある質問(FAQ)

Q1. じゃあ塩素の匂いって存在しないの?
正確に言うと、「塩素そのものの匂い」は 極めて弱いか、無臭に近いとされています。
私たちが「塩素っぽい匂い」と感じているのは、実際には**塩素が汗や尿などの汚れと反応して発生する「クロラミン」**の刺激臭です。
つまり、塩素が原因ではあるものの、「塩素そのもの」ではなく、副産物のにおいが鼻にツンとくる独特な匂いの正体ということです。
においが強いほど、「汚れと反応した痕跡が多い」とも言えるため、清潔な状態ではほとんど匂いは感じられません。
Q2. プールの水を安全に保つにはどうするの?
プールの水を衛生的に保つためには、塩素などの消毒剤による殺菌と、水の循環・ろ過による物理的な汚れの除去の両方が必要です。
具体的な対策としては:
- 適切な塩素濃度の維持(通常0.4〜1.0mg/L)
- 毎日の水質チェック(pH・濁度・アンモニア濃度など)
- フィルターやろ過装置の定期清掃
- シャワーやトイレの使用を利用者に徹底
さらに近年では、UV殺菌装置やオゾン処理などの技術を導入することで、クロラミンなどの副産物を分解し、より安全で快適な水質が保たれるようになっています。
Q3. 家庭用プールでも同じ匂いがするの?
はい、条件がそろえば家庭用プールでも同じような匂いが発生することがあります。
特に次のような場合に、クロラミン臭が強く感じられる可能性があります:
- 塩素系の除菌剤を使用している
- 汗や日焼け止めが水に溶け込んでいる
- 複数人が続けて入って汚れが蓄積している
ただし、家庭用プールは水の量が少なく、使用時間も短いため、こまめに水を入れ替えたり洗い流したりするだけでにおいを防げるケースがほとんどです。
においが気になる場合は、使用後すぐに水を抜き、プール本体を洗って乾燥させるだけでも十分な対策になります。
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