風船に砂を入れると、なぜか空に浮かばず、ストンと落ちてしまう…。
見た目は同じなのに、「中に何を入れるか」で風船の“運命”が変わるのはなぜでしょうか?
この記事では、風船が浮く仕組みである「浮力」と「重さ(重力)」の関係をわかりやすく解説。
ヘリウム風船・空気風船・砂入り風船の違いや、子どもでもできる簡単な実験例も紹介します。
理科が苦手な方でもスッと理解できる内容になっているので、ぜひ身近な現象を科学的に楽しく学んでみましょう!
風船はなぜ浮く?基本の“浮力”メカニズム
風船がふわっと空に浮かぶのを見ると、不思議な気持ちになりますよね。実はこの「浮く」現象は、**浮力(ふりょく)**という自然の力によって起こっています。空気中でも水中でも、私たちの身の回りには“重力と逆向きに働く力”が存在しており、これが物体を押し上げているのです。
特に風船の場合は、「中に何が入っているか」が浮力の影響を大きく左右します。まずは浮く仕組みの基本から確認しましょう。
浮かぶ風船には「空気より軽い気体」が入っている
浮かぶ風船には、たいていヘリウムや水素といった「空気より軽い気体」が入っています。
空気の主成分は窒素や酸素ですが、それらに比べてヘリウムなどは分子の重さがとても軽いため、空気中で浮力を受けやすくなるのです。
浮力とは、ある物体が周囲の流体(この場合は空気)から受ける“上向きの力”のこと。浮かぶには、「風船全体(中の気体+ゴム部分)の重さ」が、「押し上げる空気の力(=浮力)」より軽くなければいけません。
だからこそ、ただの空気(重い気体)を入れた風船はふわっとは浮かず、地面に落ちてしまうのです。
浮力とは?重力とのバランスで決まる現象
浮力は、周囲の気体や液体によって押し上げられる力です。
これは「アルキメデスの原理」にもとづいた自然法則で、次のように表現されます:
物体が押しのけた流体の重さ=その物体が受ける浮力
つまり、空気の中に浮かぶ風船は、空気を押しのけたぶんだけ上向きの力(浮力)を得るわけです。ただし、風船自体が重すぎると、この浮力を打ち消してしまい、飛ばない(または沈む)という結果になります。
重力と浮力のシーソーのバランスをイメージすると、非常にわかりやすくなります。
風船に砂を入れると飛ばないのはなぜ?

風船に砂を入れると、ふわっと空に浮かぶことなく、すぐに下に落ちてしまいます。
これは、「浮力」と「重さ(重力)」のバランスが崩れるからです。
風船が浮くためには、空気が風船を押し上げる力(=浮力)が、風船そのものの重さよりも強くなければいけません。でも、砂はとても重たい物質。中に入れることで、風船全体の重さが一気に増えてしまいます。
その結果、浮力より重力のほうが強くなり、風船は飛ばない=地面に落ちるというわけです。
砂の“重さ”が浮力を上回ってしまうから
風船の中に砂を入れると、たとえ中身が軽いヘリウムガスでも、重たい砂のせいで全体のバランスが崩れます。
浮力が発生していても、それを上回る重さが加われば、浮かぶことはできません。
これはまるで「水に浮かべたコップに石を入れたら沈む」のと同じ。
風船の浮力という“浮かび上がろうとする力”より、砂の重さという“下に引っぱる力”のほうが強くなるため、結果的に飛ばなくなるのです。
浮かぶには「全体の質量」が関係している
風船が浮くかどうかは、風船全体の“質量(重さ)”で決まります。
ここで言う「質量」とは、ゴムの風船本体、中に入っている気体、そして入れた砂や水などのすべてを合わせた重さのこと。
例えば、
- ゴムだけの風船(軽い)
- ヘリウム入りの風船(さらに軽くて浮きやすい)
- ヘリウム+砂入りの風船(重すぎて浮けない)
このように、中に入れるものを変えることで、風船全体の質量が変わり、浮力では支えきれなくなることもあるのです。
中に入れるものが変われば、風船の運命も変わる
風船の“浮く・浮かない”は、中に入れたもの次第でガラリと変わります。
- ヘリウムガスだけなら、よく浮く
- 空気を入れると、ほとんど浮かない
- 水や砂を入れると、確実に落ちる
つまり、同じ風船でも、「中身」によって運命は大きく左右されるのです。
これは浮力と重力のバランスが、とても繊細な関係であることを意味しています。
子ども向けの自由研究や実験でも、この違いを比べてみるととても楽しく学べますよ。
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重さと浮力のバランスを身近な例でイメージしよう

浮力や重さのバランスというと、ちょっと難しく感じるかもしれません。でも、実は身近な例を使えば、とてもわかりやすくなるんです。
風船はもちろん、お風呂の中で浮くアヒルのおもちゃや、水に沈む石ころなど、日常には浮力が働いている場面がたくさんあります。
ここでは、風船を例に、「中に何を入れるか」でどれだけ浮き方が変わるのか、実際にイメージしながら学んでいきましょう。
同じ風船でも、中身で“運命”が変わる!?
見た目が同じゴム風船でも、「中に入れたもの」が違うだけで、空中に舞うのか、床に落ちるのかが変わってきます。
これはまさに、“風船の運命”が中身で決まるということ。
- ヘリウム → 浮かぶ(軽くて浮力に勝てる)
- 空気 → 浮かばない(ほぼ同じ重さなので浮力とつり合い)
- 砂や水 → 完全に落ちる(重すぎて浮力に負ける)
この違いを体験すれば、浮力と重さのバランスがどれほど大事かが、感覚的にわかってきます。
ヘリウム風船 vs. 空気風船 vs. 砂入り風船
具体的に比較してみましょう。
以下の表は、それぞれの風船の中身と浮き方の違いをまとめたものです。
| 風船の種類 | 中身 | 結果 | 理由 |
|---|---|---|---|
| ヘリウム風船 | ヘリウムガス | 浮かぶ | ヘリウムが空気より軽く、浮力が勝つ |
| 空気風船 | 普通の空気 | 浮かばない | 空気の重さと浮力がほぼつり合う |
| 砂入り風船 | ヘリウム+砂など | 落ちる | 重さが増え、浮力では支えきれない |
このように、浮力だけでは不十分で、「全体の重さ」も同時に考えることが大切なんです。
「なんで飛ばないの?」を理科的に説明できるとカッコいい!
ただ「飛ばないから不思議」と感じるのではなく、その理由を理科的に説明できると、ぐっとカッコよく見えます。
例えば友達に、「風船に砂を入れたら飛ばなかった」と言われたら──
「それは浮力と重さのバランスが崩れたからだよ」とサラッと言えたら、かなりスマート!
これは学校の授業や自由研究だけでなく、日常の会話の中でも役立つ“知的スキル”。
物の仕組みや自然現象を理解する力は、大人になっても強い武器になります。
Q&A|風船と浮力に関するよくある疑問

Q. 砂ではなく「水」や「小豆」でも飛ばなくなる?
A. はい、飛ばなくなります。理由は「重さ」が増えるからです。
砂に限らず、水や小豆などの“重たいもの”を風船の中に入れると、全体の重さが増してしまい、浮力だけでは持ち上がらなくなります。
ヘリウムや水素といった軽い気体が入っていても、その“浮かせる力”には限界があります。
つまり、浮力より重さが勝ってしまえば、どんな物質であれ飛ぶことはできません。
重さのあるものを入れる=重力が強くなる → 浮力では支えきれなくなる、というわけです。
Q. ヘリウムガスなら、砂を入れても少しは浮く?
A. 少しだけなら浮く場合もありますが、基本的には飛ばなくなります。
ヘリウムガスは空気より軽く、風船を浮かせるのに使われますが、その浮力には限度があります。
たとえば、ほんの数グラムの紙やリボンを吊るす程度なら問題ありませんが、砂のように密度が高くて重いものを入れると、すぐに浮力の限界を超えてしまいます。
「少し浮いたけど、ゆっくり落ちていく」といったケースもあり得ますが、基本的に“重いものを足すほど飛ばない”のが原則と考えましょう。
Q. 小学生でもできる実験方法はある?
A. はい、簡単な材料で楽しく実験できます!
以下は、小学生でも安全にできる「浮力と重さの関係がわかる風船実験」です。
✅準備するもの
- ゴム風船(3つ以上)
- ヘリウムガス(市販の小型ボンベ)※大人の補助が必要
- 軽いおもり(紙、リボン、クリップなど)
- 重いおもり(ビー玉、小豆、ペットボトルキャップなど)
✅やり方
- 風船にヘリウムを入れて、何もつけずに浮かせる(基準を作る)
- 軽いおもりを少しずつ付けて、「いつまで浮くか」を観察
- 重いものに変えて、急に落ちる瞬間を比べてみる
- 感想や気づきをメモしよう(重さの違いで浮き方がどう変わるか)
✅ポイント
- 重さと浮力のバランスを目で見て感じられるのが、この実験の面白いところ。
- 安全のため、ヘリウムの扱いは大人と一緒に。火気厳禁&口に吸わないよう注意!
まとめ|風船の“飛ぶ・飛ばない”は、浮力と重さのバランス次第!

風船が空に浮かぶのか、それとも地面に落ちるのか――その違いは**「浮力と重さのバランス」**にあります。
中にヘリウムのような軽い気体を入れると浮かびますが、重いもの(砂や水、小豆など)を入れると、浮力では支えきれずに飛ばなくなってしまいます。
この現象は、単なるおもちゃの話ではなく、浮力という自然の力と、重力という引っぱる力のせめぎ合いで起こる、れっきとした“理科”の世界です。
見えない「浮力」を意識すれば、身の回りの現象がもっと面白くなる
私たちの目には見えませんが、「浮力」はあらゆる場所で働いています。
- お風呂で体が軽く感じる
- 熱気球が空を舞う
- 魚が水中で上下に移動できる
これらすべてに、浮力という見えない力が関わっているのです。
風船をきっかけにその存在を知ることで、身の回りの“当たり前”が面白く感じられるようになります。
理科は、実はとても身近で、発見に満ちた世界なんです。
楽しく学んで、理科に強くなろう!
「なんで風船って飛ぶの?」
「砂を入れたらどうなる?」
そんな“素朴な疑問”こそが、理科を学ぶ第一歩。
むずかしく感じる用語や計算も、身近な体験とつなげることで、ぐっと理解しやすくなります。
風船を使った小さな実験でも、「考えてみる」「試してみる」「違いを比べてみる」だけで、科学する力が自然と身につきます。
ぜひこれからも、「なんでだろう?」の気持ちを大切にして、理科をもっと楽しんでくださいね!
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