色が変わるスライム――それはまるで魔法のようですが、実はしっかりとした化学の力でできています。温度や光によって変色するスライムは、見た目の面白さだけでなく、理科への興味を育む絶好の教材。
この記事では、サーモクロミズムやフォトクロミズムといった現象のしくみをやさしく解説しながら、市販品と手作りスライムの違いや、失敗しない作り方・安全に楽しむポイントも紹介します。遊びながら“学べる”スライムの世界、のぞいてみませんか?
スライムの色が変わるって本当?|注目の“変色スライム”とは
スライムといえば、ぷにぷにとした感触が楽しい知育玩具として人気ですが、最近では**「色が変わるスライム」**が注目を集めています。
なんと、温度や光を当てるとスライムの色が変化するという、まるで魔法のような現象が自宅でも簡単に楽しめるのです。
実はこの変化、見た目の面白さだけでなく、化学反応の仕組みを身近に体験できる絶好のチャンス。
子どもから大人まで、遊びながら“科学の視点”を育てることができる知的なおもちゃとして、自由研究などにもぴったりの題材となっています。
温度や光で色が変わるスライムの例
変色スライムには、温度で色が変わるタイプと、光(紫外線)で変わるタイプの2種類が代表的です。
🌡 温度で変わるスライム(サーモクロミックスライム)
・温かい手で触ると、赤や青などの色が淡く変化
・冷やすと元の色に戻る
・冷蔵庫・お湯などで色の違いを比べられるのも楽しいポイント
☀ 光で変わるスライム(フォトクロミック/UVスライム)
・日光やブラックライトを当てると色が現れ、暗い場所で元に戻る
・外遊びや紫外線観察の教材としても活用可能
どちらのスライムも市販の変色顔料を混ぜることで自作できます。
“ただの遊び”に見えて、実はしっかり科学の原理が詰まっているのです。
色が変化する仕組み=“化学反応”がカギ
スライムの色が変わる背景には、分子レベルでの構造変化があります。
🧪 サーモクロミズム(温度変化による色変化)
特定の温度に達すると、色素分子の構造が変わり、光の吸収の仕方が変わるため、見える色が変化します。
これは一時的な変化であり、**可逆性(元に戻る)**があるのが特徴です。
🧪 フォトクロミズム(光による色変化)
紫外線を浴びると色素分子の構造が変化し、別の色に変化したように見える現象。
これも可逆的で、光が当たらなくなると元の構造・色に戻ります。
つまり、「色が変わった=化学反応が起きた証拠」。
スライムを使えば、子どもでも目に見える形で化学の面白さを体験できるのです。
色が変わるスライムの仕組みを解説|化学変化と分子の不思議

スライムが色を変える現象は、ただの“見た目の変化”ではなく、化学反応による分子構造の変化が背景にあります。
このような変化は「クロミズム(変色性)」と呼ばれ、身近な材料でも簡単に再現可能。
ここでは、特に注目される温度変化と光の影響による変色の仕組みを、科学的に解説します。
温度で変化するスライム:サーモクロミズムの原理
**サーモクロミズム(thermochromism)**とは、温度の変化によって物質の色が変わる性質のこと。
この原理を利用したスライムは、熱で分子構造が変化し、色の見え方が変わるよう設計されています。
🔬仕組みのポイント:
- サーモクロミック顔料に含まれる分子は、特定の温度になると構造が変化し、光の吸収・反射の性質が変わる
- 低温では分子が密集しているため暗い色に見え、高温になると分子が離れて明るい色に見える
- 例えば「青 → 無色」「赤 → 黄色」といった変化が多い
サーモマグカップやおもちゃでも使われているこの技術、スライムに応用すると触るだけで色が変わる楽しい教材になります。
光で変化するスライム:フォトクロミズムってなに?
**フォトクロミズム(photochromism)**とは、光(特に紫外線)を当てることで物質の色が変わる現象です。
スライムにこの性質を持たせることで、太陽の下で色が現れ、室内では元に戻るという変化が起こります。
🔬仕組みのポイント:
- 光が当たることで分子の形が変わり、異なる光の波長を吸収・反射するようになる
- 紫外線で変形した分子が、光を遮ると元に戻る「光応答性」の可逆反応を示す
- 例:無色スライムが紫外線で紫色に変化 → 室内で再び無色に
UVビーズや調光レンズと同じ原理で、紫外線を「見える形」に変える教材としても使われます。
なぜ色が「戻る」のか?可逆反応の特徴とは
変色スライムの大きな特徴は、「色が戻る」こと。これは**可逆反応(reversible reaction)**と呼ばれます。
🔁 可逆反応とは?
- 一度起きた反応が元に戻る性質を持つ化学反応のこと
- 変色スライムでは、分子が温度や光によって構造変化し、条件が元に戻ると再び元の構造へ戻る
この性質により、スライムは何度も変化を楽しめ、繰り返し実験できる教材として優れています。
こうした変化の仕組みを知ることで、スライムの面白さは一層深まります。
ただ遊ぶだけでなく、「なぜ変わるのか?」を探る体験は、子どもたちに科学への興味と考える力を育むきっかけにもなるでしょう。
実験してみよう!スライムが色を変える瞬間を観察しよう

“化学反応”を目で見て楽しめる、変色スライムの実験にチャレンジしてみましょう!
準備は簡単で、市販の材料や100均のグッズでもOK。
今回は、温度変化で色が変わるスライムと、紫外線に反応するスライムの2パターンの作り方を紹介します。
必要な材料と準備するもの
🧪 基本のスライム材料(両方共通)
- 洗濯のり(PVA配合のもの)… 約50ml
- ホウ砂水(※水100mlにホウ砂4g程度を溶かしたもの)… 約20ml
- 水 … 約30ml
- プラスチックカップ or 容器(混ぜ用)
- 割り箸やスプーン(混ぜ棒)
- ビニール手袋、新聞紙など(汚れ防止)
🧊 温度変化用(サーモクロミックスライム)
- サーモクロミック顔料(青→無色、赤→黄など)… 小さじ1程度
☀ 光変化用(UVスライム)
- UV(フォトクロミック)顔料 … 小さじ1程度
- ブラックライト or 屋外の太陽光
※ サーモ/UV顔料はネット通販や科学教材ショップなどで購入可能です。
温度で変化するスライムの作り方(サーモクロミック顔料)
- 容器に洗濯のり+水を入れてよく混ぜる
- サーモクロミック顔料を加えて、全体が均一になるように混ぜる
- 別容器でホウ砂水を用意し、①に少しずつ加えて混ぜる
- スライム状に固まったら完成!
✅ 実験ポイント:
- 常温では暗い色 → 温めると色が薄くなる(手のひら、ドライヤー、湯せんなど)
- 冷蔵庫で冷やすと、元の色に戻るのを観察できる
光で変化するスライムの作り方(UV反応色素)
- 洗濯のりと水を混ぜておく
- UV顔料を加えてよくかき混ぜる(顔料によっては沈殿しやすいためよく混ぜること)
- ホウ砂水を加えてとろみが出るまでしっかり混ぜる
- 完成したら、日光やブラックライトに当てて色の変化をチェック!
✅ 実験ポイント:
- 室内では無色 → 太陽の下で鮮やかな色が浮かび上がる
- 光を遮ると色が消える→“戻る”現象を観察できる
実験の観察ポイントと注意点
🔍 観察ポイント
- 「どのタイミングで色が変わるか?」を記録しよう
- 温度・光の強さ・時間によって変化の速度や濃さがどう変わるか比べてみる
- 「戻り方」(可逆性)の違いにも注目!
⚠ 安全・衛生上の注意点
- 顔料は口に入れない/目をこすらないよう注意する
- 使用後は石けんで手をしっかり洗う
- 小さなお子さんと行う場合は、大人の見守りのもとで実験を!
市販のスライムと違い、自分の手で作った変色スライムは、化学の面白さがぐっと身近に感じられるはず。
遊びながら、「なぜ色が変わるのか?」「戻るのはなぜ?」といった**“科学的な問い”**に自然と触れられる、知的で楽しい実験です。
手作りスライムはこちら🔻
子ども向け自由研究にもおすすめ|学びにつながるヒント

スライムの色が変わる実験は、楽しいだけでなく**“科学の考え方”を自然に学べる自由研究テーマ**としてもおすすめです。
遊び感覚で始められるのに、観察・仮説・検証・記録といった科学の基本がすべて詰まっているのが魅力。
ここでは、子どもの学びにつながる視点や、自由研究としてまとめるコツをご紹介します。
「なぜ?」を考える力を育む科学実験
変色スライムの魅力は、目で見て「変化」が実感できること。だからこそ、子どもの「なんで?どうして?」という知的好奇心を刺激します。
🔍 こんな問いが自然と生まれる:
- 「どうして手で触ると色が変わるの?」
- 「なぜ日陰に入ると元の色に戻るの?」
- 「もっと強い光を当てたらどうなる?」
これらの疑問に向き合うことで、仮説を立てる力・検証する姿勢・観察眼が育ちます。
さらに、温度や光といった“身の回りの現象”を通して、化学や物理への興味が広がっていくのも大きなメリットです。
実験結果のまとめ方・レポートの書き方のコツ
せっかくの楽しい実験。自由研究としてまとめれば、学びを「見える形」にして深めることができます。
📋 レポートに入れたい基本構成:
- テーマ(タイトル)
例:「スライムの色はなぜ変わるのか?温度と光のひみつを探る」 - 実験のきっかけ・理由
なぜこのテーマを選んだのか?興味を持ったことを書こう - 準備したもの(材料・道具)
- 実験の手順
作り方を簡潔に箇条書きでOK - 観察結果
・色が変わった温度やタイミングをメモ
・変化前後の様子を絵や写真で記録すると◎ - わかったこと・考察
「どうしてこうなったのか」を自分の言葉で書いてみよう - 感想や工夫した点
やってみた感想、失敗から学んだことなども大切な気づき!
✏ 書き方のヒント:
- 難しい言葉は使わず、自分のことばで書くのがポイント
- 絵・図・表を入れると、見やすく&伝わりやすくなる
- 色鉛筆で色の変化を表すのもおすすめ!
自由研究は“すごい成果”を出すことよりも、過程を通じて学ぶこと・感じたことを記録することが何より大切です。
スライム実験は「楽しい」と「学び」を同時に味わえる題材として、夏の自由研究にもぴったりです!
まとめ|“変色スライム”は楽しく学べる化学の入り口!

色が変わるスライムは、ただの遊び道具ではありません。
そこには、温度や光による化学反応の原理がしっかり詰まっていて、子どもから大人まで楽しみながら科学の基礎に触れることができます。
実際に自分で作り、変化を観察し、なぜ起こるのかを考える…。
そんなシンプルな体験が、「科学っておもしろい!」という第一歩につながります。
遊びながら科学の基本が学べる
変色スライムの魅力は、手を動かしながら“見える変化”を体験できること。
難しい知識がなくても、温度で色が薄くなったり、光で色が浮かび上がったりと、感覚的に化学反応を理解できます。
このような体験は、
- 「観察する目」
- 「疑問を持つ力」
- 「自分で考える習慣」
を自然と育ててくれます。
“遊び”の延長として取り組むことで、科学=楽しいものというイメージを子どもたちに持たせる絶好のチャンスにもなります。
身近な素材×科学反応で、もっと深く学ぼう
変色スライムは、特別な道具がなくてもできる身近な実験教材です。
洗濯のりやホウ砂など、家庭でも手に入る材料に、少し工夫を加えるだけで、本格的な化学反応が観察できるのは大きな魅力。
また、応用すれば…
- 色が変わる温度の違いを比べる
- 複数の顔料を混ぜてみる
- 光を当てる時間で変化の強さを観察する
…といった形で、自分なりの実験を広げることも可能です。
ほんの少しの「なぜ?」が、新しい興味や探究心につながる——
変色スライムは、そんな学びの入り口として、ぜひ一度体験してほしい教材です。
💡【コラム】「サーモクロミズム」と「フォトクロミズム」って何が違うの?

スライムの色が変わる仕組みには大きく分けて2つのパターンがあります。
それが「サーモクロミズム(温度変化)」と「フォトクロミズム(光変化)」。
どちらも「クロミズム=変色性」に分類される化学現象ですが、その刺激の種類や仕組みには明確な違いがあります。
| 比較項目 | サーモクロミズム | フォトクロミズム |
|---|---|---|
| 反応のきっかけ | 温度(熱・冷たさ) | 光(特に紫外線) |
| 色が変わる理由 | 分子構造が熱で変化し、光の吸収が変わる | 光エネルギーで構造変化が起きる |
| 代表的な応用 | マグカップ・ムードリングなど | 調光サングラス・UVビーズなど |
| 戻るときの条件 | 温度が元に戻ると元の色に | 光がなくなると(暗所)元の色に戻る |
スライムでは、サーモクロミック顔料=熱で色変化、フォトクロミック顔料=光で色変化を使い分けることで、異なる科学反応を体験できます。
実験や自由研究のテーマにする場合は、この違いを比較してみるのもおすすめです。
💡【コラム】市販の変色スライムと手作りスライム、どう違う?
最近は市販でも「色が変わるスライム」が販売されていますが、手作りスライムとの違いにはそれぞれメリット・注意点があります。
✅ 市販スライムの特徴
- 安定性が高く、色の変化がきれい
- 手を汚さずにすぐ遊べる
- 長持ちしやすい(防腐剤・安定剤入り)
- ただし中身が見えないため、「なぜ変わるか」が学びづらい
✅ 手作りスライムの特徴
- 自分で作る過程で化学反応の仕組みが学べる
- 材料の配合によって色の濃さや変化をカスタマイズ可能
- 時間が経つと品質が変わりやすい(保存には注意)
“自由研究”や“学び”を重視するなら手作りがおすすめ。
一方で、すぐに楽しみたい・小さなお子さんには市販品の方が扱いやすいこともあります。
目的に合わせて使い分けるのがベストです。
❓【よくある質問(FAQ)】
Q:「変色スライムは安全?子どもが触っても大丈夫?」
基本的に使用する顔料は微量であれば比較的安全ですが、顔料の種類によっては皮膚刺激がある場合もあります。
必ず「非毒性(non-toxic)」「子ども向け安全基準準拠」と明記された商品を選びましょう。
✅ 安全に楽しむためのポイント:
- 小さな子どもが口に入れないように注意
- 使用後は手をよく洗う
- 目や口に触れないようにする
- 長時間の皮膚接触は避ける
保護者の見守りのもとで行えば、家庭でも安全に楽しめる実験教材として活用できます。
Q:「作ったスライムの色が変わらない…なぜ?」
色が変わらない原因は以下のようなケースが考えられます:
- 顔料の量が少なすぎる/沈殿して混ざっていない
- 使っている顔料が十分に反応する温度や光に達していない
- 顔料が古くて劣化している(湿気・光による劣化あり)
- スライムが濁っていて色が見えにくい(洗濯のりが多い場合など)
✅ 対策として:
- 顔料はよく混ぜる&沈殿しにくいよう撹拌
- 温度計やブラックライトで刺激の強さをコントロール
- 見た目がにごらないよう水の分量にも注意
Q:「スライムの色をもっと鮮やかに変えるには?」
鮮やかさを出すには、顔料の量・種類・背景色の工夫が重要です。
💡色をはっきり見せるコツ:
- 顔料はやや多めに入れる(ただし入れすぎ注意)
- スライムを透明ベースで作ると色の変化が映えやすい
- 白っぽい下地や容器で観察すると色の違いが分かりやすい
- 必要に応じてラメや蛍光剤を加えて変化を強調する方法もあり
実験では、色の強さ・変化のスピード・戻り方なども比べてみると、より深い学びにつながります。
市販のスライムはこちら🔻

