お正月は、日本人にとって一年で最も大切な行事のひとつです。
しかし「どうして鏡餅や門松、しめ縄を飾るのか?」と聞かれると、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。
実はお正月の本質は、“歳神様(としがみさま)を家にお迎えする神道の儀式”にあります。
鏡餅は歳神様の御座(みくら)、門松は神様を導く目印、しめ縄は家を清める結界──どれも深い意味を持つ神聖な役割があるのです。
この記事では、
- お正月は何のための行事なのか
- 鏡餅・門松・しめ縄に込められた神道的な意味
- なぜその形で、どこに飾り、いつ片付けるのか
を、神道の視点からわかりやすく解説します。
意味を知ることで、お正月が“ただの年末年始”ではなく、
日本古来の美しい信仰に基づく尊い行事であることがきっと実感できるはずです。
お正月とは何のための行事?由来と意味をわかりやすく解説
お正月は「新しい年の幸せを授けてくれる神様=歳神様(としがみさま)」を家へお迎えする、日本古来の伝統行事です。
初日の出や初詣、鏡餅や門松などの正月飾りはすべて、歳神様を迎え、もてなし、1年の豊作・健康・繁栄を祈るための風習として受け継がれてきました。
本来、お正月は“祝うイベント”ではなく、神様を迎えるための一連の祭礼。
12月の「大掃除」から“迎える準備”が始まり、
・しめ縄で家を清め
・門松で神様の目印を立て
・鏡餅で神様が宿る場所を用意する
という流れになっています。
つまり、お正月の由来をひと言でいえば、
「歳神様をお迎えし、家族の幸せと一年の実りを祈る行事」
なのです。
お正月は「歳神様(としがみさま)」を迎える儀式
歳神様とは、祖先神と山の神が習合した“年の神さま”で、
「その年の運気」「家族の健康」「五穀豊穣」をもたらす存在とされています。
歳神様は毎年お正月に山から降りてきて、
門松を頼りに家へ訪れ、鏡餅に宿る
と信じられてきました。
そのため、鏡餅は単なる飾りではなく“歳神様の御神体”。
門松は“神様を迎えるための道しるべ”。
しめ縄は“家を清め、結界を張るためのもの”。
すべてが「歳神様を迎えるため」に繋がる意味の深い飾りなのです。
古来より続く“年のはじまり”の考え方
日本では古くから、
「年のはじまり=魂が新しく生まれ変わる時」
と考えられていました。
歳神様がもたらす“新しい年の命(力)”を受け取ることで、
人々は1年を健康に過ごせると信じられていたため、
お正月は極めて重要な節目とされてきました。
また、旧暦の時代には「年神祭」や「若返りの儀式」など、
新年を祝う行事は現在よりも宗教的な意味が強く、
現代のお正月の土台となっています。
このように、お正月文化は単なる慣習ではなく、
“新しい年の生命力を授かる神事”として続いてきた
深い背景があります。
松の内とは?なぜ「松」という字を使うのか
「松の内」とは、歳神様が家に滞在する期間のことで、
一般的には 1月7日(関西など一部地域では1月15日)までを指します。
ではなぜ「松の内」という言葉を使うのでしょうか?
その理由は、
門松は歳神様を迎える重要な目印だったから です。
歳神様が滞在している間は、
「まだ神様が家におられる期間」=松がある期間
として“松の内”と呼ばれるようになりました。
松は古来より“生命力の象徴”であり、
常緑樹であることから「不老長寿」「長生き」の意味を持ちます。
そのため、神様にふさわしい縁起の良い木として選ばれているのです。
松の内が終わると、歳神様は山へ帰られ、
お正月飾りを外すタイミングとなります。
お正月飾りの役割|鏡餅・門松・しめ縄はなぜ飾る?

お正月飾りを飾る最大の理由は、
「歳神様(としがみさま)を家へお迎えし、安心してお過ごしいただくため」
という日本古来の信仰にあります。
鏡餅・門松・しめ縄はそれぞれ形こそ違いますが、
すべて同じ目的――
“歳神様を迎え、家族にご加護を授けてもらう準備”
として飾られるものです。
つまり、お正月飾りは単なる縁起物ではなく、
「歳神様にとっての家のガイド・宿泊場所・結界」
という神聖な役割を分担しています。
・しめ縄 → 家を清め、神様を迎える「結界」
・門松 → 神様が迷わず来られるようにする「目印」
・鏡餅 → 神様が宿る「依り代(よりしろ)」
これらが揃ってはじめて「歳神様を迎える家」になるのです。
お正月飾りは「歳神様を迎えるための準備」
歳神様はその年の“運気・繁栄・健康”を司る神様です。
お正月飾りは、歳神様が安心して家に降りてこられるように
“道案内”と“宿の準備”を整えるために飾るもの” です。
●しめ縄は「清め」と「結界」の役割
玄関にしめ縄を飾るのは、
「この家は清められています。どうぞお入りください」
という意味。
しめ縄によって邪気が入れず、神様だけを迎え入れることができます。
●門松は「歳神様の目印」
歳神様は山の神でもあり、
松・竹に宿ると信じられてきました。
門松を立てることで、
“この家にどうぞお越しください”
という“神様の導線”ができます。
●鏡餅は「神様が宿る場所」
鏡餅は丸い形=魂を象徴し、
その上に歳神様が宿る“御神体”です。
つまり、
しめ縄で清め → 門松で案内し → 鏡餅へお通しする
という一連の流れこそが、お正月飾りの本質。
すべての飾りは連動しており、
単体ではなく「セット」で意味が完成する」のです。
玄関・神棚など飾る位置に意味がある理由
お正月飾りは、ただ飾れば良いわけではなく、
“場所で意味が変わる” のが特徴です。
正しい位置に飾ることで、歳神様が迷わず家に入り、
ご加護を授けてくださると考えられてきました。
●玄関にしめ縄を飾る理由
玄関は「神様が入る正面の入口」。
しめ縄をかけることで、
・外の穢れを遮断し
・家の中を清浄な空間として保つ
という“結界”の役割を担います。
だから、玄関以外にしめ縄を飾る地域がほとんどないのです。
●門松が家の入口に置かれる理由
歳神様は“松の木に宿る”という伝承があり、
門松は 歳神様が降りてくる「依り代(よりしろ)」 とされます。
家の入口に置くことで、
歳神様を家へ導く「目印」 としての役割が成立します。
もし庭や室内に置いてしまうと、
目印としての意味が薄れてしまうため、
「門(玄関先)」に置くのが基本なのです。
●鏡餅を神棚・床の間・リビングに飾る理由
鏡餅は歳神様がお座りになる“神聖な場所”に置くのが基本です。
・神棚:最も正しい伝統的配置
・床の間:家の中で最も格式の高い空間
・リビング:家族が集う「中心の場所」で現代的に良い
大切なのは、
“家の中の特に大切な場所にお迎えする”
という意味を持たせること。
鏡餅の位置が曖昧だと、
歳神様の居場所が定まりにくいと考えられていました。
鏡餅の由来と意味|形・重ね方・飾る理由を解説

鏡餅は「歳神様(としがみさま)をお迎えするための最も大切な正月飾り」であり、
歳神様が宿る“御神体(ごしんたい)”としての役割 を持つ神聖な飾りです。
古くから“魂(たま)を映す鏡”とされてきた円形の鏡をかたどり、
1年の健康・豊作・家内安全を祈願する象徴として日本全国に広く伝わってきました。
鏡餅を飾ることは単なる縁起担ぎではなく、
「新しい年の力」「生命の更新」を歳神様から授かる儀式
という深い意味が込められています。
鏡餅が丸く重ねられ、橙が乗せられる形はすべて意味があり、
日本人の“新年の願い”が凝縮されたものなのです。
鏡餅は“歳神様の居場所”=御神体としての意味
鏡餅は、歳神様が降りてきて宿るための 「依り代(よりしろ)」。
つまり、歳神様が一時的に宿る“御神体” として扱われます。
しめ縄や門松が“家へ迎える準備”だとすると、
鏡餅は “神様が実際に滞在する場所” にあたります。
だからこそ鏡餅は、
・神棚
・床の間
・家族が集うリビング
など、家の中でも特に大切な場所 に飾られてきました。
歳神様が宿ることで家に“新たなエネルギー”がもたらされ、
1年を健康に過ごせると信じられていたのです。
丸い形の意味(魂・円満・調和)
鏡餅の丸い形には、主に3つの意味があります。
①「魂(たま)」を象徴
古代の鏡は丸く、神が宿る神具として使われました。
鏡餅はその“丸鏡”を模しており、
魂の象徴・神の象徴 とされています。
②「円満」を表す
丸いものは“円=縁”にも通じ、
家族円満・人間関係の調和 の象徴とされました。
③「調和・完全」の形
角がなく、何物とも争わない形。
正月にふさわしい 平和・調和の象徴 でもあります。
丸い鏡餅を2段で重ねるのは、
「陰陽」「月日」「去年と今年」などの調和 を意味し、
2つが重なることでより力が強まると信じられてきました。
橙(だいだい)を乗せる理由|代々栄える願い
鏡餅の上に飾られる橙(だいだい)にも明確な意味があります。
●「代々(だいだい)家が栄える」願いを込めて
橙は木から落ちずに“代(世代)を重ねる”性質を持つため、
「代々家が繁栄する」「家族が続く」
という願いが込められています。
●家の中心がしっかり続くことを象徴
昔の家族観では「家系をつなぐ」「家の繁栄」は特に重要。
その象徴として橙が最も縁起が良いとされました。
●本来は“ミカン”ではなく“橙”
現在は手に入りやすいミカンを使う家庭もありますが、
本来は“橙”が正しい形です。
橙を中心に、
昆布(よろこぶ)・勝栗(勝ち)・串柿(子孫繁栄)などを添える地域もあります。
すべてが“縁起”と“祈り”を象徴しています。
鏡餅はいつ飾る?いつ下げる?(飾り始め〜鏡開き)
鏡餅を飾る時期には縁起の良い日・避けるべき日があります。
◎ 飾り始めのベストタイミング:12月28日
「8」は末広がりで縁起が良く、
28日は“にちなんで最も良い日”とされています。
◎ 12月26日〜30日もOK
ただし 12月29日は避ける のが一般的です。
「二重苦」「苦餅」と語呂が悪いため。
また 12月31日も避ける のが伝統です。
1日だけ飾る「一夜飾り」は、
歳神様に対して“準備不足”として失礼にあたるため。
◎ 鏡餅を下げる日(鏡開き)
地域によって違いますが、一般的には次の通り。
- 1月11日: 関東・多くの地域
- 1月15日: 関西・一部地域
鏡餅はカビが生えても、割って食べるのが本来の作法。
歳神様が宿った“縁起物”を体に取り入れることで、
1年の無病息災・家内安全を願う儀式 とされています。
門松の由来と意味|歳神様の「目印」になる理由

門松(かどまつ)は、お正月飾りの中でも特に重要な意味を持つ“歳神様の目印”です。
古くから日本では、松や竹には神様が宿るとされ、
「神様が迷わず家を訪れるための導きのしるべ」 として飾られてきました。
特に歳神様は“山から降りてくる神”とされているため、
山の象徴である松を家の入口に立て、
「どうぞこの家へお越しください」
と知らせるために用いられたのが門松の始まりです。
門松は家と神様をつなぐ大切な迎え入れの道具であり、
単なる正月の装飾ではなく、
「年の神を迎える正式な準備」 を意味する神聖な儀式の一つなのです。
門松は神様を家へ導く“神の依り代”
門松は、歳神様が降りてくる際に宿る 「依り代(よりしろ)」 とされます。
依り代とは、神様が現世に来るために“宿る対象物”のこと。
松は常緑で枯れにくく、
古くは「神が宿る木」と信じられてきました。
そのため家の門口に松を飾ることで、
「ここに神様がお降りください」
と場所を示す役割を果たします。
また、竹は天へまっすぐ伸びる姿から「成長」や「繁栄」の象徴。
松と竹を組み合わせることで、
神様が安心して降臨できる清らかな空間 が整うのです。
門松を立てる場所が必ず“門前・玄関の両側”なのも、
歳神様の通り道を明確にするためです。
松と竹を使う由来(生命力・繁栄)
門松に松と竹を用いるのには、はっきりした理由があります。
●松は「不老長寿」と「生命力」の象徴
松は冬でも色を変えず、生命力の象徴とされてきました。
また、神道では「神が宿る木」と考えられ、
祭事や神社でも松が使われるのはそのためです。
松を玄関に飾ることで、
歳神様をお迎えする神聖な入口 を作ります。
●竹は「成長・繁栄・魔除け」の象徴
竹が使われる理由は以下の通り。
・まっすぐ天に向かって伸びる成長力
・節があるため“人生の節目”の象徴
・空洞のため「清浄さ」を意味する
・折れてもすぐ復活する強靭さ
これらの性質から、竹は
一家の繁栄・子孫繁栄 の願いを込めて門松に取り入れられました。
松と竹がセットになることで、
「神を迎える生命力の象徴」として完成された形になるのです。
左右で意味は違う?現代の飾り方のポイント
門松には本来、左右で明確な意味や格式の違いはありません。
“左右一対”で飾ることで
歳神様の通り道(門)を作る ことに意味があるためです。
しかし、一部の神道の解釈では
「左が格上」という説がありますが、
これは神前作法の“左上位”の考えが転用されたもの。
現代の門松には基本的に関係ありません。
●飾る際のポイント
- 玄関の両側に一対 で置く
- 通行の邪魔にならない位置 に
- アパートやマンションの場合は
→ 玄関ドアの前に小型の門松を置く
→ 置けない場合は“玄関内に簡易門松”でもOK
現代では小型タイプや室内用の門松も増えており、
戸建て以外でも“歳神様を迎える意味”はきちんと成立します。
門松を飾る時期と片付け時期
門松の飾り始め・片付けには縁起の良い日・避けるべき日があります。
◎ 飾り始め:12月28日が最良日
「末広がりの八」につながるため、
最も縁起の良いとされています。
◎ 12月26日〜30日もOK
ただし 12月29日(苦待つ) は避けるのが一般的。
また 12月31日(“一夜飾り”) も避けられます。
神様を迎える準備を“急ごしらえ”で行うのは失礼とされるためです。
◎ 片付け時期(松の内が終わる日)
地域で違いがあります。
- 関東:1月7日まで(松の内:1〜7日)
- 関西:1月15日まで(松の内:1〜15日)
松の内が明けたら門松を下げ、
神社の「どんど焼き」で焚き上げるのが習わしです。
燃える煙が神様を天へ送り返すと考えられていました。
しめ縄(しめ飾り)の意味|家を清める「結界」の役割

お正月に玄関へしめ縄(しめ飾り)を飾るのは、単なる季節の風習ではありません。
しめ縄には「この場所は清らかで、歳神様をお迎えできる準備ができています」という“結界”としての重要な役割があります。
神社でもしめ縄が張られているように、神聖な領域と俗世を区切る象徴なのです。
しめ縄は“穢れを寄せつけない境界線”
しめ縄の本質的な意味は、「不浄を寄せつけず、神様を迎えるための清らかな空間を作る」こと。
- 古来から日本では「縄」を張ることで外界との境界を示してきた
- 神社の注連縄(しめなわ)と同じく、家の入口を神聖な空間に変える
- 歳神様が安心して降りてくる場所を整える役目がある
つまりしめ縄は、家そのものを“神域”へと整える準備にあたります。
ただの飾りではなく、「穢れを払い、福を招く“結界”」として欠かせない存在なのです。
紙垂(しで)の意味は「清浄」
しめ飾りについている白いギザギザの紙=紙垂(しで)。
これは神社でよく目にする「清浄の象徴」です。
紙垂には以下の意味があります。
- 神聖な場所であることを示す
- 邪気を払う
- その領域を「清める」働きがある
紙垂があることで、しめ縄は単なる飾りではなく、神事としての意味を持つお正月飾りになります。
しめ飾りを玄関に飾る理由
数ある場所の中でもなぜ玄関に飾るのか?
それは、歳神様が家へ最初に入る場所が玄関だからです。
玄関に飾ることで…
- 歳神様を「こちらへお入りください」と案内する
- 家族の一年の無病息災・五穀豊穣を祈る
- 福を招く入口を清める意味が強まる
さらに、しめ飾りは地域や家庭によってデザインが異なり、玄関の大きさ・家の格式に合わせて用いる風習もあります。
飾る日と外す日の正しいマナー
しめ縄はただ飾ればよいのではなく、飾る日・外す日に“縁起の良い時期”があるのがポイントです。
■飾るのに縁起の良い日
- 12月28日(最良)
末広がりの「8」で縁起が良い - 12月26〜30日の間(29日は避ける地域が多い)
■避ける日
- 12月29日(苦・二重苦)
- 12月31日(一夜飾りで神様に失礼)
31日は大晦日で急ぎ飾るのは“歳神様への敬意に欠ける”とされるため、避けるのが一般的です。
■外す日(処分する日)
- 松の内が明けたら外す
- 関東:1月7日
- 関西:1月15日
外したしめ飾りは、神社の「どんど焼き」で焚き上げてもらうのが正式な作法です。
お正月飾りはいつからいつまで?縁起のよい日程まとめ

お正月飾り(しめ縄・門松・鏡餅)は、飾る日と片付ける日に“縁起の良い時期”が決まっているのが特徴です。
お正月の本来の目的は「歳神様を家に迎えること」であり、飾りを適切な時期に整えることは、神様を敬う大切な作法とされています。
飾り始め・片付け日・処分方法を正しく理解することで、より丁寧にお正月を迎えることができます。
飾り始めは「12月26〜28日」「30日」
(29日・31日が避けられる理由)
お正月飾りを飾る日として一般的に縁起が良いのは、以下の期間です。
■縁起が良い飾り始めの日
- 12月26日:仕事納め以降でゆとりがある
- 12月27日:問題なく縁起良し
- 12月28日:末広がりの“8”で最も良い日
- 12月30日:ギリギリだが一夜飾りではないため可
■避けられる日
●12月29日
“二重苦(にじゅうく)”を連想させるため避ける地域が多い。
また語呂で「九松(くまつ)」とされ、縁起が良くないとする説も。
●12月31日(=一夜飾り)
歳神様を迎える準備を前日ギリギリに行うのは失礼にあたるとされる。
「心を込めて準備していない=誠意がない」という意味になり避けるのが一般的。
片付ける日は地域で違う|松の内(7日 or 15日)
お正月飾りを片付ける日は、“松の内”が終わる日とされています。
松の内とは、歳神様が家に滞在している期間のことで、地域によって違いがあります。
■片付ける日
- 関東/1月7日(一般的)
- 関西/1月15日(古くからの伝統)
■松の内が違う理由
かつては全国的に1月15日が松の内でしたが、江戸時代に関東で1月7日に早まったのが由来。
その後、関東文化が広まったため、今では「7日派」が多数派に。
■片付けるのが遅くなるのはOK?
松の内を過ぎても数日以内なら問題なし。
ただし「1月中ずっと飾りっぱなし」は歳神様が帰らない状態になり不自然とされるため、遅くとも1月中旬には片付けるのがマナーです。
処分方法|神社・どんど焼きの意味
お正月飾りはそのまま捨てるのではなく、「清めてお返しする」という考え方が基本です。
■最も良い処分方法:神社の「どんど焼き」
1月15日前後に行われる地域行事で、正月飾りを焚き上げる神事です。
どんど焼きには以下の意味があります。
- 正月の間、歳神様が宿っていた飾りを天へ“送り返す”儀式
- 煙に乗って神様が帰るとされる
- 無病息災・家内安全を祈る行事
- どんど焼きの火で焼いた餅を食べると一年健康に過ごせると言われる
■神社で受付していない場合
- 近隣の神社で「古札納め所」に置く
- 可燃ゴミで処分する場合は「塩で清めて白い紙に包む」が一般的
■してはいけない処分
- 飾ったまま放置
- 年を越して飾り続ける
- 汚れたままゴミとして捨てる
飾りには歳神様の“気”が宿るとされるため、丁寧に扱うのが望ましいとされています。
地域で違うお正月文化|関東と関西でここが変わる

お正月の風習は“全国共通”と思われがちですが、実は関東と関西で大きく異なる文化がいくつもあります。
鏡餅の形、松の内の期間、玄関に飾るしめ縄の形状──どれもその地域の歴史や気候、文化が反映されたものです。
関東と関西の違いを理解すると、お正月行事の背景や深い意味がよりクリアに見えてきます。
鏡餅の形|丸餅・角餅の違い
まず代表的な違いが、鏡餅に使われる餅の形です。
■関西:丸餅
- 昔から農村文化が強く残った地域
- 「丸」は魂(霊)・円満・調和を象徴
- もち米をちぎって丸めるという伝統的な製法が続いた
■関東:角餅(切り餅)
- 江戸時代、人口が急増した都市圏では大量生産が求められた
- 一度のばした餅を切り分ける方が効率的で定着
- 武家文化の影響で
「四角=武士の“切る”イメージが縁起悪い」
とされる説もあるが、実際は利便性が理由
■鏡餅はどちらの形が正解?
どちらも正解。地域ごとの文化があり、
- 関東の鏡餅 → 角餅を重ねる
- 関西の鏡餅 → 丸餅を重ねる
という違いが今も続いています。
松の内|7日・15日の地域差
お正月飾りを片付ける日も、関東と関西で最も有名な違いがあります。
■関東:1月7日
松の内が「7日まで」とされたのは江戸時代が由来。
江戸幕府が元旦〜7日を公式行事の期間と定めたことで、
関東の文化としてそのまま根付いたといわれます。
■関西:1月15日
もともとは全国的に“15日まで”が古い伝統。
関西ではその習わしが色濃く残り、今も1月15日まで飾る家庭が多い。
■どちらが正しい?
どちらも正しい。
地域の風習に合わせて飾るのが最も自然で、歳神様への敬意にもつながるとされています。
玄関飾りの違い(しめ縄の形など)
お正月飾りの代表である“しめ縄”にも、地域で違いがあります。
■関東:細長い「玉飾り」タイプが主流
- 中央に橙・紙垂・ウラジロをあしらう
- 比較的シンプルで縦長のデザイン
- マンションでも飾りやすいサイズ感
- 江戸文化の流れをくむ“粋で簡潔な飾り”が好まれた
■関西:豪華な「輪飾り」「締め飾り」が多い
- 太めで丸い輪に仕上げた“輪飾り”が多い
- ゆずり葉・昆布・橙などを盛り込み縁起物を豪華に配置
- 儀式性が強い“古式ゆかしいスタイル”
- 玄関全体を演出する大きめのしめ縄も地方では一般的
■形の違いが生まれた理由
- 関東:町屋や武家文化の影響でコンパクト・シンプルに
- 関西:宮中・神社文化の影響で装飾性豊かに豪華になった
つまり、しめ縄の形は地域の歴史的背景が反映されているのです。
まとめ|お正月は“歳神様を迎える”ための尊い行事

現代では「年の区切り」「家族で過ごすイベント」という印象が強いお正月ですが、その本質は古来より変わらず、“歳神様(としがみさま)を迎える神聖な儀式”です。
鏡餅・門松・しめ縄といったお正月飾りには、それぞれに明確な意味と役割があり、すべてが「歳神様を家にお迎えし、無病息災・五穀豊穣を祈るため」に繋がっています。
意味を知ると、お正月がぐっと深く、豊かな行事として感じられるようになります。
鏡餅=歳神様の御神体
鏡餅は、歳神様の“居場所”として家に祀る大切な飾りです。
- 丸い餅 → 魂・円満・命の象徴
- 鏡のように丸い形 → 神霊が宿る“御神体”
- 上に乗せる橙 → 「代々続く繁栄」の願い
鏡餅は飾りではなく、歳神様の力を家に留める象徴であり、鏡開きではその力をいただくとされます。
門松=歳神様を迎えるための目印
門松は、歳神様が迷わず家に来られるように立てる“目印”です。
- 松の生命力 → 神聖で清らかな依り代
- 竹のまっすぐ伸びる性質 → 成長・繁栄
- 玄関に飾ることで「この家にお越しください」という合図
門松は“歳神様を家へ案内する導きの灯台”といえる存在です。
しめ縄=家を清める結界
しめ縄は、神聖な場所と現世を分ける“結界”です。
- 不浄を寄せつけない線
- 紙垂(しで)は「清浄」の象徴
- 玄関に飾ることで「ここは清められた場所です」と示す
歳神様が安心して降りてくるための、家全体の浄化と守護の役割を担っています。
意味を知ると、お正月がより豊かになる
お正月飾りは単なる飾りつけではなく、
すべてが歳神様を迎え、一年の幸福と健康を願うための重要な儀式です。
- 鏡餅 → 神様の“宿る場所”
- 門松 → 神様を案内する“目印”
- しめ縄 → 神聖な“結界”
これらの意味を理解して飾ることで、
自分の家で古来から続く神聖な伝統を丁寧に受け継ぐことになります。
お正月の由来や飾りの意味を知ることで、
毎年の行事がより尊く、温かく、価値あるものとして感じられるはずです。
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