約束された神ゲーは本当か?PS4版『The Division』の詳細なレビュー

PlayStation

「約束された神ゲー」の名のもとに登場し、発売初週に3億3,000万ドルもの売り上げを記録したPS4版『The Division』。しかし、期待を一身に受けながらも、製品版においては予想外の課題が浮上しました。

最初にユーザーを驚かせたのは、デモ版からの劣化とされるグラフィック。本来ならば期待値を上回るクオリティを約束していたはずのゲームが、製品版では劣化してしまい、それに伴い「デモ版詐欺」という言葉までが広がりました。この事態により、ユーザーたちの期待が一気に裏切られた形となりました。

しかし、ゲームの問題はグラフィックだけにとどまりませんでした。他の要素においても「神ゲー」とまでは言い難い評価が相次ぎ、期待値の高さからくる反動が鮮明に現れました。発売後わずか3ヶ月で、Steamの同時接続ユーザー数が[113,877人→5,500人]という激減ぶりは、ゲーム業界においては異例の事態でした。

それにもかかわらず、『The Division』は現在もなお賛否両論の評価を受けています。不評の一方で、中には「ハマって何百時間も遊んだ」といった好評の声も存在しています。本当に神ゲーなのか、製品版の問題点をプレイして確かめるべく、我々はこの記事でその真相に迫ります。

ディビジョンってどんなゲーム?

ディビジョンは、ハックアンドスラッシュ要素が強いオープンワールドTPSです。

舞台は荒廃したニューヨーク。
街の武装勢力を鎮圧し、都市機能の回復を目指します。

あらすじ

テロでニューヨークに人工ウィルス「ドルインフル」がばら撒かれる。
多数の死者を出し、警察力を失い治安は崩壊。都市機能は麻痺した。

政府は事態収拾のために特殊部隊「Strategic Homeland Division」(ディビジョン)を送り込む。

ディビジョン隊員は選抜された市民。
平時は一般市民、有事の際は大統領令によって治安維持部隊となる。上層部の統率力が失われた状況下では独自に活動できる。

ディビジョンの第一陣はほとんどが行方不明になった。
プレイヤーはディビジョン第二陣としてニューヨークに足を踏み入れる。

ストーリー演出は薄め。

主人公の背景描写は無し。
荒廃したニューヨークにいきなり放り出され、おつかいミッションの繰り返し。ミッション終了後の余韻も薄いです。

■ニューヨークを荒らす無法者達

・ライカーズ:ライカーズ島に収容されていた脱走犯

・クリーナーズ:火でウイルスを消せると思っている。火炎放射器で全てを焼き払う

・ラスト・マン・バタリオン:民間軍事会社が送り込んだ軍隊の残党。組織に失望し、自分たちで統治を開始した

グラフィック

グラフィックはデモ版以下とはいえ当時トップクラス。

オープンワールドとしては狭く、景色は似たりよったり。
その分、画面に映る物量が凄いです。

リアルな雪、水たまり。
放置された自動車や車。
非常階段まで作り込まれた建物。
積み上げられたゴミ・ゴミ・ゴミ!

さらにゲームエンジン「Snow Drop」により天候・時間が変化し、時間経過で車や路面に雪が積もります。

天候と時間帯に応じて景色がガラリと変わり、ときにハッとするほど鮮烈な光景が現れます。

綺麗だけど臨場感は薄いです。
というのも、ほとんどの建物に入れないしNPCとの絡みも無い。
外見を作り込んだハリボテのように感じます。

ハックアンドスラッシュ

[ミッションをクリア→強い武器・防具を集めてレベル上げ→上位ミッションに挑戦]
の繰り返し。

敵のレベルが2以上高いとボコられるので、攻略や探索は適正レベル地域で行います。
メインミッションだけでは行き詰まります。レベル上げ作業が必須。

アクション

カバーアクションが特徴的。
どこにでも張りつけます。

[背丈ぐらいのオブジェクトに身を隠す→頭を出して撃つ]をひたすら繰り返すのが基本。

後述するように敵が硬い&鬼エイムすぎて走りながらの無双プレイはできません。
ステルス要素が無いのでステルスキル無双もできません。

オンライン要素

PvE・PvPの2種類があります。

・全ミッションでcoop(PvE)が可能
・「ダークゾーン」でプレイヤーと敵対するPvPが発生

これらはエンドコンテンツ扱いです。

・coopはただでさえ硬い敵がさらに敵が硬くなる。最高難度のみcoop推奨。

・PvPは初心者狩りが横行。敵対すると装備を奪われ、装備を入手しても回収困難

よってストーリー攻略中は1人で遊んだ方がむしろ楽。

難点

個人的には難点が目立つ作品でした。
以下、その理由を述べます。

カバーアクションが気持ちよくない

カバーアクションの戦い方に幅がない上、アクション自体のフィーリングがいまいちです。

判定も挙動もなんだかグニャグニャ。
「はぁ?隠れてるのになんで食らってんだよ、さっさと動けよ、張り付くのはそこじゃねーだろ」感があります。

例えば、

通っているように見えない射線で被弾
→隠れる場所を変えるため移動
地形に吸い付くようにグニャグニャ動いて変なとこ行く
→射撃後、カバー解除されて棒立ち
→再びカバーするとまた変なとこ行く

私は元々、Ubisoft特有のグニャグニャ挙動が苦手。
本作はカバーアクションとグニャグニャ挙動が相まってさらにフィーリングが悪いです。

CPUがバカ

敵がバカです。

・同じルートを行ったり来たり
・カバーしたまま頭を出さずフリーズ状態
・銃でフル武装したプレイヤーへ、盾も持たず打撃武器で特攻

真面目にカバーして戦っているのはプレイヤーだけ。

敵は間抜けな動きを理不尽な硬さ・火力・鬼エイムで補います。

とにかく硬く、素の頭にヘッドショット何十発当てても倒せません。

しかもショットガンで撃ってもヘッドショットしても怯まないしエイムがブレない。先手を取っても撃ち負けます。

ハックアンドスラッシュの敵は硬いのが通例とはいえ、本作の敵はモンスターやロボットではなくリアル世界の人間なので不自然です。

さらに、カバーアクションが前提のせいで鬼エイムです。
体を出したら即撃ち抜かれます。

こちらがスナイパーで狙うような距離を、ヨロヨロと走りながらSMGでスパスパ当ててくるのは笑ってしまう。

リスポンが面倒

超タフ&鬼エイムな敵に対するこちらの防御力は紙。
軽く4発ぐらいパスパスッと食らうと終了。グレネード食らうと一撃死。
この不公平感。

紙防御はともかく、リスポン場所が遠いのがツラいです。
500m前からリスタートとかありがち。

100発撃ち込んでも倒せない
→2、3発食らって死亡
→500m前リスタート

粘ったあげく瞬殺され、リスポンからリアルで[自宅→駅]ぐらいの道のりを徒歩移動で戻し作業は心折れます。

レベル上げが単調

ハックアンドスラッシュらしく、やはり中盤以降のレベル上げが作業的でダルい。

レベル10ぐらいまでは色々と新しい要素を覚えて楽しい。でもその後は本当に同じ作業の繰り返しです。

中盤以降はサイドミッションをこなす作業が必須。
サイドミッションの内容は、
[マップ見る→徒歩で現場に直行→銃撃戦して終了]の繰り返し。
戦闘はカバーアクションで同じようなラッシュを退けるのみ。

現場まで毎回500m以上、徒歩移動です。
いくら天候・時間帯によって景色が変わるといっても、雪降る荒廃したニューヨークのロケーションに変化が無さすぎて10時間もプレイすれば飽きます。

その他

常時ネット接続必須の影響で、スタンバイ状態から復帰すると3分間のロード後にリスタート地点に戻されます。
スタンバイ状態を使ってコツコツ遊ぶ自分としては致命的。

まとめ

総じて言えることは、『The Division』はUbisoftらしい、投げっぱなしで単調さが目立つ作品といえます。期待された神ゲーの光り輝く約束が、実際の製品版で暗雲に覆われたような印象を受けます。特にオススメはできませんが、ハックアンドスラッシュ要素によりコツコツと時間を潰すことはできるでしょう。

一方で、雪降るニューヨークと実銃を使えるといった要素は、一部のプレイヤーにとっては魅力的なポイントとなるでしょう。雪景色が舞台となったゲーム世界や、実在の銃火器を使用できることに魅了される方にとっては、手を出す価値があるかもしれません。

総じて言えるのは、ゲームの質に関しては評価が分かれる作品であり、プレイする際にはある程度の警戒心を持って臨むべきでしょう。

<続編はこちら↓>

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