京都アニメーション(通称:京アニ)が贈るアニメ作品は、まるで心に響く詩のような美しさと深い感動が共存するものばかりです。その独自のアートスタイルと緻密なストーリーテリングは、視聴者を異世界へと誘い、作品の中に没入させてくれます。
この記事では、京都アニメーションが手がけた数々のジャンルやテーマのアニメから、特に視聴者を圧倒し、心を打つ作品をランキング形式でピックアップしました。美しいアニメーションの中で繰り広げられる感動的な物語、キャラクターたちの成長や絆、そして時折織り交ぜられるユーモア。これらの要素が融合した最高のエンターテインメントをご堪能いただけます。
アニメファンの皆様、是非ともこのおすすめランキングを通じて、京都アニメーションの奇跡のような作品たちに触れ、心揺さぶられる感動を共有してください。どの作品も、視聴者の期待を超える魅力に溢れており、アニメの力強さと美しさを再認識させられることでしょう。
京都アニメーションの概要と歴史
「京都アニメーション」とは、日本は京都府の宇治市周辺に本社と複数のスタジオを構えるアニメ制作会社であり、141名のスタッフが正社員として在籍している。
事業内容はアニメの企画・制作が中心だが、
- ライトノベルレーベル「KAエスマ文庫」での出版事業
- 「京アニショップ」などでグッズを売るマーチャンダイジング事業
- 「京都アニメーションプロ養成塾」でのスクール運営事業
…も行っている。
歴史は1985年、創業者の八田陽子氏が結婚して子供を育てる傍らに、近所の主婦を集めてアニメ製作塾を開講した所から動き出す。
アニメ制作事業を始めて当初は、シンエイ動画、タツノコプロ、サンライズとった大手制作会社が手掛ける作品の仕上げがおもな仕事だった。
だが、業界では「質の高い丁寧な仕事をする」と評判になり、徐々に下請けの仕事が増え出す。挙句の果てには、京アニに下請けを発注するためにスケジュール調整をする発注元まで現れる始末だったのだという。
2002年、下請けを担当していたTVアニメ『The Soul Taker 〜魂狩〜』のスピンオフであるOVAシリーズ『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』にて、タツノコプロとの共同制作で初の元請けを。
翌年2003年は、ラノベ原作のTVアニメ『フルメタル・パニック? ふもっふ』において、TVシリーズの元請けデビューを果たした。
そして2006年、同じくラノベ原作のアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』が大ヒット。「京アニ」の知名度を押し上げる出世作となる。
2009年に制作した漫画原作のアニメ『けいおん!』が社会現象になると、その知名度はさらに上昇し、アニメファンから絶大な支持を得る黄金期を迎える。
近年ではより独立した制作体制へと転換し、自社の文庫レーベルの賞で募った作品を原作にアニメを作りつつ、他社レーベルの漫画をアニメ化していたりもする。
2020年に制作した『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞するなどの高い評価を獲得した
京都アニメーションの特徴・作風
「京アニ」は、演出・作画・仕上げ・美術・撮影・デジタルエフェクト(作品を制作する工程のほぼ全て)を社内で行える制作体制を確立している。
一部の制作工程を外部の会社に下請けに出すことは滅多になく、外部の制作工程となる音響監督には必ず鶴岡陽太氏が起用されている。
ゆえに各工程が連携の取れた、非常にクオリティの高い作品を作れるのが「京アニ」の特徴であり、目覚ましい強みだ。
とくにファンからは「神作画」 と讃えられるなど、作画の優秀さは広く知られている。
またあまり知られてないが、”演出”も作画に劣らないくらい優秀である。
これが他の作画だけが優秀な大手制作会社との決定的な違いだ。
つぎに作風について。
原作がある場合の作風は、基本的に原作を忠実に再現しながらも、アニメオリジナルの要素を付け加えてアレンジすることが多い。
たとえば『中二病でも恋がしたい!』では、メインキャラ4人のうち2人がアニメオリジナルのキャラだったり、『甘城ブリリアントパーク』では原作と異なるストーリー展開と結末が用意されていたりする。
原作にとことん忠実なのは『AIR』くらいだが、どの作品も原作の再現度は非常に高い。
京アニ全作品 おすすめアニメランキング
第21位:MUNTO
概要・あらすじ
『MUNTO』シリーズは、 木上益治監督を始めとする京都アニメーションが自主制作したファンタジーアニメ。
2003年と2005年にOVA2作が発売され、2009年にそれらをまとめたTVアニメ『空を見上げる少女の瞳に映る世界』(全9話)が放送。
のちには、TVアニメ後半の内容のディレクターズカット版である映画『天上人とアクト人最後の戦い』が公開された。
他人とは違う空が見える中学生・ユメミのもとに、天上世界の魔導王を名乗るムントという男が現れ、2つの世界を救えと言われるところから物語は始まる。
おすすめポイント
京アニが制作したアニメで最も知名度が低いように、かなり人を選ぶ作品だ。
良くも悪くも”プロが作る同人アニメ”という感じだが、映像だけはめちゃくちゃヌルヌル動く。
京アニが大好きで止まないなら観るがいい。「京アニが好き!」と言っている他のオタクにマウントを取ることができるぞ。
今から視聴するなら、全9話のTVシリーズで纏まっている『空を見上げる少女の瞳に映る世界』がおすすめ。配信はないが、2021年12月に全てが収録されたBlu-rayBOXが発売される。
第20位:ツルネ -風舞高校弓道部-
概要・あらすじ
第7回京都アニメーション大賞小説部門審査員特別賞を受賞し、KAエスマ文庫より2016年12月から刊行されている小説『夜多の森弓道場』を原作としたアニメ。
2018年10月-2019年1月に全13話が放送され、2022年には劇場版が公開予定である。
物語のあらすじは、あることが原因で弓道を辞めて高校に進学した主人公・鳴宮湊が、高校の弓道部に所属する凄腕の射手・滝川雅貴と知り合ったのをきっかけに、再び弓道に向き合い仲間とともに県大会優勝を目指す!…というもの。
おすすめポイント
左足を前に出し、つるに矢をあてがい、的をめがけて弓を射る。
そんな「弓道」の動作、そして男子高校生たちが「弓道」に励む人間ドラマを、静寂かつ丁寧に描いている。
新生代の女性向けスポーツアニメと言えるだろう。アニメが好きな女性はチェックしておくべし。
第19位:無彩限のファントム・ワールド
概要・あらすじ
第4回京都アニメーション大賞小説部門奨励賞を受賞し、2013年12月よりKAエスマ文庫で刊行されているライトノベル『無彩限のファントム・ワールド』。
それを原作として、2016年1月-3月に全13話のTVアニメが放送された。
21世紀初め、ある事件で人の脳構造が突然変異し、「ファントム」と呼ばれる幽霊や妖怪を認識できるようになった。そして子供たちの中には、ファントムに対抗できる特殊な力を持つ能力者も現れた。
ホセア学院に通う主人公・一条晴彦もその一人で、川神舞、和泉玲奈、水無瀬小糸たち能力者と共に、苦しくも楽しい煩悩溢れる学園生活を送っていた。しかしある事件をきっかけに、彼らはこの世界の真実を知ることになる。
おすすめポイント
本作は”女体”を描くことに徹底的にこだわった作品であり、とにかく清々しくどこまでもヒロインたちがエロい。
むっちり金髪巨乳、黒髪ロングの貧乳、物静かな普通サイズ、きゃぴきゃぴのロリっ子、妖精サイズの女の子...あらゆる基本的な”萌え”を抑えている。
内容は2010年代のラノベ原作アニメの王道を往き、シリアスな戦闘シーンも差し込まれるが、そこでも乳が揺れ動くなど男性への性的サービスを欠かさない。
美少女、萌えが好きな男性オタクに向けて京アニが本気で作った、贅沢がすぎる美少女アニメだ。
第18位:境界の彼方
概要・あらすじ
『境界の彼方』は、2012年よりKAエスマ文庫で刊行されている、第2回京都アニメーション大賞奨励賞受賞作(ラノベ)を原作としたアニメ作品だ。
2013年10月-12月に全12話が放送され、2015年3月14日にその総集編となる映画『過去篇』が、4月25日に新作映画『未来篇』が公開された。
ある日、半妖夢で不死身の身体を持つ少年・神原秋人と、妖夢を討伐して生計を立てる異界士の少女・栗山未来が出会う。
未来は秋人を倒すことができず、やがて生計が苦しくなるが、それを見かねた秋人は未来を諭す。
そして二人は協力しながら他の妖夢討伐を行うが、やがて大地主である名瀬家を巻き込んだ事件へと足を踏み込んでいく...
おすすめポイント
「異界士」と呼ばれる能力者と「妖夢」と呼ばれるモンスターが戦うという、内容はよくありがちなダークファンタジー系のバトルモノ。
だが、バトルシーンの作画は意識が吹き飛びそうになるほど凄まじく、ヒロインが非常に可愛いく描かれているのに対し、モンスターは非常に気持ち悪く描かれている対比も面白い。
それから第6話のダンスシーン(全部手描き)は必見だ。ハルヒダンス、らきすたダンスの進化形態がここにある。
第17位:たまこまーけっと
概要・あらすじ
『たまこまーけっと』は、2013年1月-3月に全12話が放送されたオリジナルアニメ。
2014年4月には続編となる映画『たまこラブストーリー』が公開された。
餅屋の娘である主人公・北白川たまこは、2学期の終業式後に立ち寄ったうさぎ山商店街の花屋で、言葉を話す謎の鳥・デラと出会う。
デラはとある国の王子の妃を探しており、たまこに求愛されたと誤解してたまこの家に住み着いてしまう。
おすすめポイント
監督:山田尚子、シリーズ構成:吉田玲子、キャラデザ・総作監: 堀口悠紀子…と『けいおん!』のスタッフで手掛けた完全オリジナルアニメだ。
ほんわかと温かい雰囲気で、和気藹々とした可愛いらしいキャラクターがいっぱい居て、どこか若々しさもあるコメディテイスト。誰もが好きになれるであろう。
個人的にはラブコメ色全開になる『たまこラブストーリー』がおすすめだが、まずはTVシリーズを観てから。
第16位:Kanon
概要・あらすじ
『CLANNAD』『Angel Beats!』『Chalotte』などを手掛けたゲームブランド「Key」が、1作目として1999年6月4日に発売した18禁PCゲーム。それがこの『Kanon』。
2002年に東映アニメーションにより一度アニメ化されているが、京アニが制作したのは二度目のアニメ化。2006年12月-2007年3月に全24話が放送された。
両親の海外赴任に伴い、雪の街に住む叔母の水瀬家に居候することになった主人公・相沢祐一。
そこで叔母・水瀬秋子の娘である水瀬名雪に再会するところから物語は始まり、街や学校で様々なヒロインと出会い、絆を深めながら大事なものを思い出していく...
おすすめポイント
原作ゲームの発売当時、エロゲーのシナリオに”泣き”や”感動”の要素を入れたことによって「泣きゲー」のジャンルを立てた先駆者となり、「泣きゲーの金字塔」とまで呼ばれた作品だ。
放送時期的に『ハルヒ』『らきすた』『CLANNAD』に隠れてしまっているが、数々の名作を生み出し伝説となった「Key」の始まりを感じてほしい。
「奇跡」をテーマにしたシナリオと、丁寧な京アニの映像が、じんと心に染みて来るだろう。
ちなみに、本作のメインヒロイン・月宮あゆの大好物は「鯛焼き」であり、作中でもよく食べるシーンがあるのだが、これがきっかけで海外にも「鯛焼き」なる食べ物が広まり人気になっていたりする。うぐぅ。
第15位:Free!
概要・あらすじ
『Free!』は、第2回京都アニメーション大賞奨励賞を受賞し、2013年7月にKAエスマ文庫から刊行されたライトノベル『ハイ☆スピード!』を原案にしたアニメシリーズ。
TVアニメは、第1期が2013年7月-9月(全12話)、第2期が2014年7月-9月(全13話+OVA)第3期が2018年7月-9月(全12話)が放送。
映画は原案のアニメ化が1本、2期と3期の総集編が1本ずつ、新作が2本公開された。
2021年4月26日には最終章『劇場版 Free!-the Final Stroke-』が発表され、同年9月17日に前編、2022年4月22日に後編が公開予定だ。
物語は、小学生のスイミングクラブでの優勝以降水泳から遠ざかっていた主人公たちが、高校在学中に設立した男子水泳部での日々を描く。
おすすめポイント
京アニの優秀なスタッフが、男性の肉体美、泳ぎの躍動感、水の美しさをしつこく描いている。それは男性視聴者目線でも惚れ惚れするほどだ。
また、大会を目指して「水泳」に情熱を燃やすメンズたちのドラマも、王道に近いスポコンモノで白熱するだろう。
女性には特におすすめしたい。男性の皆さん、マネージャーの女の子と女性教諭(共にサブキャラ)が可愛いよ。
第14位:らき☆すた
概要・あらすじ
2004年から未だに連載中の美水かがみ先生の同名漫画を原作とし、TVアニメは2007年4月-9月に全24話が放送された。
2008年9月26日には40分にも及ぶOVAが発売。
オタクな女子高生の泉こなた、その友人でゆったりした性格の柊つかさ、つかさの双子の姉でしっかり者でツッコミ役の柊かがみ、容姿端麗で博識ながら天然ボケな所がある高良みゆき。
この4人を中心とした女子高生たちのまったりとした日常をコメディに描く。
おすすめポイント
基本的には美少女たちによる丁寧なゆるふわ日常系だが、少々マニアックな小ネタ、オタク向けのパロディ、時事ネタ、結構な内輪ネタなどが随所に盛り込まれている。
これが当時のオタクを熱狂させ、ニコニコ動画全盛期のインターネットで大いに賑わいを見せた。
ゆえに2007年当時のオタクを表すような作品であり、アニメ史やオタク史における重要な資料とも言える。
2007年頃のオタクは何に夢中になり、何を愛していたのか。それを知りたければ本作を観るべし。
ある程度京アニ作品を観てから視聴に臨むといいと思う。
第13位:日常
概要・あらすじ
2006年から2015年まで連載されたあらゐけいいち先生の漫画『日常』は、2011年4月-9月に全26話でアニメ化された。
不条理な「日常」を題材に、時定高校を中心とした個性的なキャラクターたちが、奇想天外な出来事の続発に翻弄される...
おすすめポイント
死ぬほどしょーもない事を、死ぬほど労力をかけて壮大に誇張しているヤバいアニメ。
たとえば、お弁当からウインナーが床に落ちるだけで1つの話が終わる。
そして途轍もなくシュールなギャグが繰り広げられるのだが、これが日本以上に海外で大人気だったりする。刺さる人にはとことん刺さるに違いない。
まあそういうのが好きそうな人は観てみてくれ。タイトルは詐欺。
第12位:小林さんちのメイドラゴン
概要・あらすじ
『小林さんちのメイドラゴン』は、2013年から連載中のクール教信者先生の漫画。
2017年1月-3月に全13話+OVA1話でアニメ化され、2021年7月-9月に第2期が放送。
朧塚に住むオタク気質のOL・小林さんは、酔った勢いから異世界のドラゴン・トールを助け、人間のメイド姿になってお世話してくれと同居を誘ってしまう。
多大な恩を感じたトールは住み込みで小林さんのお世話を始め、次第に異世界から様々なドラゴンが集まるようになっていくのだった。
おすすめポイント
小林さんを始めとする普通に暮らす人間と、異世界から来たドラゴンたちが織りなす”異種間コミュニケーション”は、学校通いや会社勤めの疲れを癒してくれる現実的な非現実だ。
学校の時代遅れや会社のブラックさが叫ばれる昨今に生きる現代人には、かなりグッと来る設定や日常系コメディが展開される。オタクネタは面白いし、ちょっとした社会風刺は耳が痛い。
『らき☆すた』の系譜を受け継いだ日常系のお手本のような作品なので、疲労困憊してる人は是非。
第11位:甘城ブリアントパーク
概要・あらすじ
『甘城ブリリアントパーク』は、2013年から富士見ファンタジア文庫より刊行されている、賀東招二先生のライトノベルが原作。
2014年10月-12月に全13話+OVA1話でアニメ化された。
潰れかけのテーマパーク「甘城ブリリアントパーク」を再生させるべく、再建を託された主人公・可児江西也と、パークのキャストたちがドタバタ奮闘する物語。
おすすめポイント
普段は子供たちに明るく振舞って夢を与えている着ぐるみが、裏では酒を交わしながらゲスな下ネタや悪口を垂れ流していたり...
そんな感じで、過剰なほど個性豊かなキャラクターたちが、ギャップと笑いと最後には感動に溢れた成り上がりドラマを繰り広げる。
楽しくささっと1クールを完走できるはず。
あと、ヒロインがめちゃくちゃエロ可愛く描かれている。 メインヒロイン・千斗いすずのむっちりボディには、全男がやられるだろう。
第10位:中二病でも恋がしたい!
概要・あらすじ
『中二病でも恋がしたい!』は、第1回京都アニメーション大賞奨励賞受賞作として、2011年6月からKAエスマ文庫で刊行されているラノベを原作にしたアニメだ。
第1期が2012年10月-12月に全12話+OVA1話、第2期が2014年1月-3月に全12話+OVA1話、第1期の総集編映画が1本、2018年1月には新作『映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-』が公開された。
中二病だった過去と決別し高校生になった主人公・富樫勇太は、入学式の前日の夜、自宅マンションの上階から降りてきた眼帯を付けた少女と出会う。
翌日、勇太は学校でその少女・小鳥遊六花と再会して同じクラスになるが、六花は”邪王真眼”の持ち主と名乗り、中二病を拗らせていた。
そして勇太は、六花に半ば強引な形で”契約”を結ばされ、決別したはずの中二病に付き纏われることになる...
おすすめポイント
怪我もしてないのに眼帯を付けたり、意味もなくカラコンを入れてオッドアイにしたり、異世界のモンスターを召喚するべく魔法陣を生成したり、自分には特殊な能力がある唯一無二の存在だと思い込んだり、「闇の炎に抱かれて消えろ」などの決めセリフを吐いたり...
中学二年生頃の思春期に、そんな「中二病」を発症していた人は、黒歴史を掘り返されるように胸がざわつくこと必至。
また、富樫勇太と小鳥遊六花の掛け合いには、胸がキュンキュンしてこそばゆくなるだろう。
色んな意味でこっ恥ずかしくなる、京アニを代表する学園青春ラブコメディだ。
第9位:聲の形
概要・あらすじ
『聲の形』は、2013年から2014年まで「週刊少年マガジン」で連載されていた漫画が原作の作品だ。
2016年9月17日に、129分の長編アニメーション映画として公開された。
第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞や、第26回日本映画批評家大賞アニメーション部門作品賞など、様々な栄誉ある賞を受賞。興行収入は35億円以上。
小学6年生の主人公・石田将也のクラスに、先天性の聴覚障害を持つ少女・西宮硝子が転校してくる。
硝子は「筆談用ノート」でクラスメイトと交流を試みるが、将也たちは硝子をいじめるようになり、次第に悪化の一途をたどる。
やがていじめの件で学級会が開かれると、将也が犯人だと全てを押し付けられ、将也はいじめられる側の立場となり心を閉ざす。硝子もまた転校してしまう。
だが、時が経ち高校3年生になった将也は、再び硝子や小学生時代のクラスメイトと出会うことに。
おすすめポイント
障害者の苦悩や思春期の葛藤、違った人と人の繋がり合いやコミュニケーションを、繊細かつ緻密かつ赤裸々に描いている。
学校という小さな社会や思春期を経験していれば、誰にでも痛々しいほど共感できる映画だ。
たった2時間で観られるので、わりと気軽に観てほしい。
第8位:響け!ユーフォニアム
概要・あらすじ
『響け!ユーフォニアム』は、2013年12月から宝島社で刊行されている小説を原作とした作品。
1年生編を描いた第1期が2015年4月-6月に全13話、第2期が2016年10月-12月に全13話で放送され、ともに総集編となる映画が1本ずつ公開された。
2018年、スピンオフとなる映画『リズと青い鳥』が公開され、2019年には2年生編を描いた『劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』が公開。
2021年現在では、3年生編を制作することが決定している。
主人公・黄前久美子が入学した京都府立北宇治高校は、10年ほど前まで吹奏楽の強豪校だったが、現在はすっかり落ちぶれていた。だが、小学生の時から吹奏楽を続けている久美子は、級友たちの誘いを断りきれずに吹奏楽部へ入部。
吹奏楽部には新しい顧問・滝昇先生が赴任し、全国大会出場を目指すか楽しく過ごす部活動にするか、部員たちに選択を求める。
そして部員たちは全国大会を目指す方を選び、厳しい吹奏楽の部活動に奮闘する青春が始まるのだった。
おすすめポイント
おもに女子高生のリアルな青春群像劇を描いており、たまに女子同士が仲違いしてピリピリする時の空気感の再現度は尋常ではない。女子って怖いなと思う。
また、吹奏楽器の質感や音にもこだわっていて、随所で本格的な演奏シーンを観る・聴くことができる。
吹奏楽が好きな人も、青春真っ只中の人も、そうでない残念なオタクも。
第7位:ヴァイオレット・エヴァーガーデン
概要・あらすじ
第5回京都アニメーション大賞の大賞を受賞し、2015年12月からKAエスマ文庫より刊行されているラノベ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、2018年1月-4月に全13話でアニメ化。
2019年9月6日には映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』が公開され、2020年9月18日に『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が公開。
4年間にわたる大陸戦争が終結。その戦場で「武器」と称されて戦うことしか知らなかった少女・ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、戦場で両腕を失って自在に動く義手を付けることに。
彼女は「自動手記人形」と呼ばれる代筆屋となって働き、大切な人・ギルベルト少佐に死に際に言われた「愛してる」という言葉の意味を探していく。
おすすめポイント
小説の短編集のように、美しく泣ける話が次々と綴られていく。
また、2021年現在唯一にして初の京都アニメーション大賞大賞受賞作という事で、非常に力が込められた珠玉の映像美を拝められる。
切なくも素敵な映像作品をぜひ観てほしい。
第6位:けいおん!
概要・あらすじ
『けいおん!』は、2007年から2012年まで「まんがタイムきらら」で連載されていた4コマ漫画が原作のアニメ。
第1期が2009年4月-6月に全13話+OVA1話、第2期が2010年4月-9月に全26話+OVA1話、2011年12月3日には『映画けいおん!』が公開された。
物語の舞台は、部員ゼロで廃部寸前の私立桜が丘女子高等学校軽音部で、唯・律・澪・紬の4人の生徒がバンドを組み、ゼロから部活動を行っていく。
途中からは新入生の梓も加わり5人となって、軽音部の結成から卒業までの3年間を描く。
おすすめポイント
放送当時は、150億円超の経済規模になるほどの社会現象とバンドブームを巻き起こした大ヒット作だ。
女子高生たちのほのぼのとした日常系部活モノの雰囲気は、万人が面白いと言えるものに仕上がっている。
また、キャラクターの服装やEDがオシャレだったり、音楽がすごく良かったり、楽器表現の手描きにこだわっていたりと隙が無い。
俺たちの青春がこのアニメに詰まっている。
第5位:CLANNAD
概要・あらすじ
2004年に「Key」が3作目として発売した恋愛アドベンチャーゲーム『CLANNAD』。
アニメは第1期が2007年10月-2008年3月に全23話+OVA1話が、第2期が2008年10月-2009年3月に全23話+OVA1話が制作された。
怪我でバスケットボールを断念し不良となっていた主人公・岡崎朋也は、ある日学園前の坂道で同校の女子生徒・古河渚と出会う。
渚は演劇部の復活を目指しており、朋也はそれに手を貸すのだった。
おすすめポイント
高校生活を送り、彼女ができて付き合い、卒業して社会に出て、結婚して、子供を産んで親になって...
「クラナドは人生」というネットスラングが有名なように、まさに”人生”を描いた作品である。
元はギャルゲーだから可愛い美少女ヒロインも多数居るし、魅力的で愛せる男性キャラも居る。
そんな彼らによる、人々の交流と成長そして町や家族の物語は、きっと感動できるはずだ。それと便座カバー。
第4位:氷菓
概要・あらすじ
『氷菓』は、2001年10月から角川より刊行されている推理小説『古典部シリーズ』をアニメ化した作品。
2012年4月-9月に全22話が放送され、のちにOVA1話が制作された。
文化系部活動が活発なことで有名な進学校・神山高校で、「古典部」という廃部寸前の部活に入部した男女4人が、学校生活の日常に隠された”謎”に挑む学園青春ミステリーである。
おすすめポイント
文学的なテイストとノスタルジックな雰囲気が漂い、一段レベルアップした映像美とウィットに富んだ演出は一見の価値あり。
ついつい世界観に惹き込まれて、見入ってしまうような引力が本作にはある。
人が死なないライトミステリーを、アニメという媒体で楽しんでいただきたい。
第3位:フルメタル・パニック ふもっふ/The Second Raid
概要・あらすじ
1998年9月から2011年8月まで富士見ファンタジア文庫で刊行されていた、賀東招二先生のライトノベル『フルメタル・パニック』。累計発行部数は1100万部以上。
その短編シリーズ(外伝)をアニメ化したのが『フルメタル・パニック? ふもっふ』で、2003年8月-11月に全12話が放送。
一方、長編シリーズ(本編)をアニメ化した『フルメタル・パニック! The Second Raid』は、2001年にGONZOが制作したTVアニメ『フルメタル・パニック!』の続編に当たる。2005年7月-9月に全13話が放送された。
世界最強といわれる特殊部隊「ミスリル」に所属する戦士である主人公・相良宗介。
彼は、日本の高校に通う美少女・千鳥かなめを守るため、彼女の高校に転校生としてやって来るのだが、軍事バカな頭でたちまち校内を混乱に招いていた。
おすすめポイント
『ふもっふ』は京アニの初元請け作品であり、まだ初々しい頃の京アニが見られる...
と思いきや、作画が超絶ヌルヌルなただのクソ面白いギャグアニメに仕上がっている。シリアス展開は一切無し。
予備知識が無くとも、いきなり観てしまって大丈夫だ。
ちなみに原作者は『甘城ブリリアントパーク』と同じで、本作の繋がりから『甘ブリ』は京アニでアニメ化されたと思われる(監督も同じ)。
一方『The Second Raid(TSR)』は、2001年にGONZOが制作したTVアニメ『フルメタル・パニック』(全24話)を観るか、原作で内容を把握してないと視聴は厳しい。
個人的には、GONZO版『フルメタル・パニック!』(全24話)⇒『ふもっふ』(全12話)⇒『TSR』(全13話)の視聴順をおすすめする。制作された順番通りだ。
第2位:AIR
概要・あらすじ
2000年に「Key」が2作目として発売した18禁PCゲーム『AIR』。
2005年1月-3月に全12話+OVA2話でアニメ化された。
物語は、第一部「DREAM編」・第二部「SUMMER編」・第三部「AIR編」の三部構成となっている。
現代が舞台の第一部では、主人公であるさすらいの人形遣いの青年・国崎往人が、海辺の田舎町で偶然出会った少女達と紡ぐ、ひと夏の物語が描かれる。
おすすめポイント
ゲームの前作『Kanon』と同様、ファンタジーチックな恋愛劇が展開されるのだが、本作はとにかく”感動”に特化したシナリオとなっている。僕は一度も笑えなかったが、全話泣いてしまった。
また、作画は芸術作品のように美しく、PS3のDVDアップコンバート機能の開発基準になったくらいだ。2005年のDVD売上ランキングも2位に輝いた。
それからOP曲「鳥の詩」は、オタクの間で”国歌”と親しまれるほどの名曲だ。
1000年にも及ぶ壮大な夏の物語なので、もしかしたら一回観ただけでは理解し難いかもしれない。
それでもこの伝説的作品を観てほしい。映像志向、シナリオ志向には堪らない一作。
第1位:涼宮ハルヒの憂鬱
概要・あらすじ
『涼宮ハルヒの憂鬱』は、2003年6月から角川スニーカー文庫より刊行されている谷川流先生のライトノベルが原作のアニメ。
第1期が時系列シャッフルで2006年4月-7月に全14話放送され、2009年4月-10月に時系列順再放送14話+新作14話の計28話が第2期として放送された。
2010年には映画『涼宮ハルヒの消失』が公開され、興行収入は8億円を突破。
ほかミニアニメとして、『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱』(全25話)や『にょろーん☆ちゅるやさん』(全13話)が制作された。
「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
高校入学早々、この突飛な自己紹介をした涼宮ハルヒ。見てくれは美少女だが、性格や言動は変人そのもので、クラスで孤立し始めていた。
しかし、ごく普通の男子高校生である主人公・キョンは、そんなハルヒに好奇心で話しかけてしまった事により、あらゆるぶっ飛んだトラブルに巻き込まれていく...
おすすめポイント
「京アニ」の名を世間に轟かし、2006年以降の深夜アニメ・ライトノベル業界のスタンダードを築き上げた作品だ。
お話の内容、世界観やキャラの設定、音楽、作画や演出、キャスト陣の演技、セリフ回し...どれを取っても永久に色褪せず、どの話数もすこぶる面白い。
個人的には第6話「涼宮ハルヒの憂鬱Ⅵ」と第26話「ライブアライブ」がおすすめ。
同じお話が8話に渡ってリピートされる「エンドレスエイト」は、我慢できないなら飛ばしてしまっても...(エンドレスエイトの詳細はググってね)
アニメ史を語るうえでは外せない偉大な存在を、ぜひ自分の感覚で体感してほしい。
まとめ
京都アニメーション(京アニ)が描くアニメーションの中には、深遠で感動的な物語が織りなす美しい世界が広がっています。この記事では、京都アニメーションの作品の中から選りすぐりのエンターテインメント作品をご紹介しました。それぞれの作品が、視聴者に感動や笑顔、時には涙までもたらす特別な体験を提供しています。
京都アニメーションは、その独自のアートスタイルや心に残るストーリーテリングによって、アニメファンだけでなく幅広い視聴者に支持されています。本ランキングでは、美麗なアニメーションと共に、キャラクターたちの成長や絆、そして人間ドラマを描いた作品たちをランク付けしました。
アニメの力で心を豊かにし、視聴者に深い感動をもたらす京都アニメーションの作品。このランキングを通じて、新たな作品の発見や再視聴の楽しみを味わっていただければ幸いです。京都アニメーションの世界に触れ、心に残るエンターテインメントをお楽しみください。