書評【経済的自由への道は、世界のお金の授業が教えてくれる】著者:西村隆男の感想&レビュー

書籍

著者:西村隆男

紹介

経済的自由への道を教えてくれるということで読みました。
そんな道があるなら知りたい。

内容

■日本にはお金の教育が無い

アメリカでは小学生から投資について学ぶ。北欧の教育でもお金について考えさせる。

対して日本にはお金の教育が無い。

だから、
・複利の計算ができない
・緊急時に備えた蓄え(給料3ヶ月分)があるのはたったの55%
・非正規手取り14万で奨学金返済5万を抱えてしまう。
16万人が返済滞る。卒業後すぐ自己破産する例もある。

「お金は汚ないもの」という意識を今すぐ捨てて勉強するべき。

■その他

リスクに対処する方法は3種類
運転でいえば、
・回避:免許証返納。乗らない
・移転:保険に入る
・低減:安全運転

ヒューリスティック(経験則、直感による意思決定)はバイアスがかかる。
・損失回避
・現状維持
・同調性行動
さらに、売り込むが側は「情報の非対称性」を利用してインセンティブを作る。

感想:「お金持ち」でなくなった本当の理由

たしかに本書のような、家計レベルの「お金の教育」は必要でしょう。

現在の日本は貧困化+増税により税金で所得の大半が消えるため、貧困層ほど節税や運用が死活問題となります。

私は個人事業主。確定申告が面倒くさすぎて3月は毎年どこかへ消えたくなります。
高校数学なんてやるヒマあったら申告書の作り方や複式簿記の書き方を教えろよ、と腹が立つ。

ただ、国のあり方として本当にそれで良いのでしょうか。

お金の教育が無いのは、考えようによっては良いことです。
だって、教育しなくても不自由なく暮らせたってことだから。

今までは貯金が無くても、奨学金があっても、正社員になれて安定収入があったから問題なかった。
お金について何も知らなくても、一生使わない数3や古文をのんびり勉強できた。

一生使わない何かの教育を削ってお金の教育をねじ込むということは、みんなが生活に困らず勉学に邁進できる社会から欧米型自己責任社会に向かうということです。

また本の帯「なぜ日本人は「お金持ち」でなくなってしまったのか?」を考えるなら、個人のやりくりより国家レベルの視点が必要です。

お金の教育には2種類あります。
それは家計(ミクロ経済)と国家財政(マクロ経済)。

本書で語られているのは前者だけなのが厄介です。
というのも、ミクロとマクロをごっちゃにして国家財政に家計感覚を持ち込んだのが貧困化の元凶だから。

借金は嫌、赤字は嫌。そんな家計感覚で政府が支出を減らしたため国民の所得が減り、日本人はお金持ちでなくなりました。
結果、限られた需要の奪い合いになってお金の教育が必要になった。

つまり、
・自己責任社会の是非
・ミクロとマクロの違い
この理解を共有する必要があります。
理解せずにお金の教育をしても、国家としては格差拡大しつつ全体的に貧乏になるジリ貧。

と、私のような貧困層が語っております。

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