書評第三弾はキャッチ―なタイトルで目を引く『死ぬこと以外かすり傷』のマンガ版。
編集者が”死ぬこと”に直面することなんてあるの?
一言でいうと、本書では、出版不況と言われる今、若くして天才編集者とされ数々のヒット作を生み出している著者・箕輪厚介さんの生き方・働き方が書かれています。
本書に対する意見は立場によってわかれそうなところ。
ですが、客観的に見て、仕事の向き合い方として良いところもあります。
下記の方はぜひ本書を読んでみてください!
- 仕事に対する情熱が欲しい方
- 仕事をやる気があって更にモチベーションをあげたい若手
では、もう少し掘り下げて本書を解説していきます。
『マンガ 死ぬこと以外かすり傷』箕輪 厚介
読んだ経緯
書籍で発売されたとき本屋で発見し、編集者なのに本?と惹かれたもののなんというかタイトルが挑発的すぎて読む気にはなれませんでした。
今回その本がマンガとなって発売されているのを見かけ、マンガなら早く読めるだろうと思って読みました。
実際、30分くらいで読めたのでかなりの時間節約に!
著者:箕輪 厚介さんのプロフィール
箕輪さんは、1985年東京都生まれ。
現・幻冬舎編集者。
経歴は、以下の通り。
早稲田大学第一文学部卒業後、2010年双葉社に入社。
ファッション雑誌の広告営業としてタイアップや商品開発、イベントなどを企画運営。
広告部に籍を置きながら雑誌『ネオヒルズ・ジャパン』を創刊しアマゾン総合ランキング1位を獲得。
2014年、編集部に異動。『たった一人の熱狂』(見城徹)、『逆転の仕事論』(堀江貴文)を編集。
その後幻冬舎に移籍し、2017年にNewsPicks Bookを立ち上げ、編集長に就任。『多動力』(堀江貴文)、『お金2.0』(佐藤航陽)、『日本再興戦略』(落合陽一)、『メモの魔力』(前田裕二)などを編集。
創刊1年で100万部突破。また1300名の会員を擁する日本最大級のオンラインサロン「箕輪編集室」を主宰。既存の編集者の枠を超え、様々なコンテンツをプロデュースしている。
引用:Amazon著者について(Bookデータベースより)
ビジネス書好きなら聞いたことある、あるいは読んだことある有名な本たちの編集者です。
普通、本を読む時って編集者のことなんて気にも留めないのですよね。
なのに、箕輪さんは本まで出している!
一体どんな編集者なんだろうと興味を持ちませんか?
ただの編集者の枠を超え、自らインフルエンサーとなり本を売る。
”トラブルに身を投げよ”を信条とし、安定を捨て熱狂することに飛び込んでいく。
それが本書の著者の箕輪さんです。
作品について
ジャンル:ビジネスコミックス?、自己啓発、人生論
本書の概要
目次
- トラブルに身を投げろ
- 言ってはいけないことを言ってしまえ
- 量量量!
- スピードスピードスピード!
- 自分に何万円の値札を貼るか
- 今やれよ!
- 数字から逃げるな
- 努力は夢中に勝てない
※本書はマンガの部分とその解説の文字だけの書籍の部分が交互にやってきます。
要約
インドで危ない目にあいながらもその経験をすぐにネタとしてインターネットに公開する破天荒な大学生からスタート!
数々のヒット作を生み出す天才編集者として著者自身の本が出されるまでになったが、本書はまさに自伝的な本です。
リーマンショックで唯一の内定先の企業が倒産し、翌年内定もらえたのが出版社の双葉社のみ。
その新入社員研修後の感想で無意味と言い放ち、出版社の営業生活が幕を開ける。
与沢翼の本を出版することにこぎつけ責任者となり編集者としての第一歩を踏み出した。
その後、編集者として見城徹『たった一人の熱狂』の出版から幻冬舎へ。
もうこの編集者として新人の時点での著者への口説き落としがすごい!
忙しい有名なビジネス界の大物にいかに本を書いてもらうか。
例えば、ホリエモンだったら、その著書・講演会でのスピーチ・インタビュー全て調べつくし、本人以上に本人のことがわかるくらいまでなってどういう本だったらOKか試行錯誤して「こういう本を作りたい」と企画を持っていく。
それならば、ホリエモンだって納得のいく本ができあがるはず。
また、早さ命で時間がかかる出版業界の常識を覆し時代の流れに乗せて本を出す。
とにかく睡眠時間も家族との時間も全て削って、本を作ることに時間を捧げている。
有名な人からの誘いであれば遠くても遅くてもその飲み会に行く。
時間の惜しさから都内に引っ越したことにより、収入をあげるためオンラインサロン「箕輪編集室」を作った。
今どき珍しいくらいに仕事に尽くしている姿が書かれている。
重要ポイント
本書で、特に気になった文を3点だけ絞って引用して解説していきます。
憑依(ひょうい)レベルの分析
表面上だけではない心の奥の部分、人間臭いところを言語化し、実際話をするときどういう言葉をぶつければ、こいつ俺のことわかってくれている、こいつなら仕事してもいいと思ってもらえるかを考えているんです。(p.56)
この仕事に対する姿勢は、編集者でなくても見習えます。
著者は憑依レベルの分析と名付けているけれど、他のビジネスシーンであっても、自分のことをよくわかっている相手なら安心して仕事を任せられるのは人間の心理。
他の仕事に対する姿勢は真似できなくても、この”相手のことを理解すること”だけは、真似して損はしないかなと思いました。
甘い気持ちで仕事をしていることへの自戒
ダラダラと居心地のいい仕事をしていれば、この世にあらざるものを作れない。(p.151)
この言葉は自分への自戒です。
今の仕事が楽しいけれど居心地がよすぎて、だらだらしがちなので反省しつつ刻んでおきます。
夢中に取り組んでいるからこその言葉
努力は夢中に勝てない
最後のテーマがこれ「努力は夢中に勝てない」でした。
これは確かに。うむ、と言わざるを得ない言葉。
いくら努力したって、夢中になっている人には敵わないのです。
なぜなら、物事に夢中になっている人は必ずもっと努力もしているから。
ただ努力しようと思って努力している人が、熱中して夢中になってその過程で自然に努力している人に勝てるはずがないんです。
でも、そこまで夢中になれることを見つけられる人の方が少ないのじゃないかなと思います。
だったら、何もしない人より、何かに努力する人の方が良いですよね。
だから頑張ろうという話です。
まとめ『マンガ 死ぬこと以外かすり傷』箕輪 厚介
本書を読み終えると、
自分の仕事に対する甘さが鮮明になります。
成功している人はやることをやっている。本人が努力と思っていなくても夢中に努力しているのです。
ただ、著者の働き方は、残業を減らそう!休日を増やそう!という今の時代の流れには大きく反しているので万人が万人受け入れられるわけではありません。
「最近の若者はガッツがない」と言われるのをよく聞きます。
仕事を頑張ろうと張り切っている若手は、がむしゃらに頑張っている人がどうやって働いているかを知るのに本書は読みやすくおススメです。
※書籍版とマンガ版の内容はほとんど同じなのでマンガの方が早く読めます。
- 書籍名:マンガ 死ぬこと以外かすり傷
- 著者名:箕輪 厚介
- 出版社:幻冬舎コミックス
- 出版日:2019年12月27日
- キーワード:出版、自己啓発、人生論